イカン・バカル(焼き魚)は屋台の食べ物だと思っていたが、結婚式の主役だった
インドネシアの焼き魚「イカン・バカル」は屋台から高級レストランまで幅広く、地域や場面によって全く異なる料理に変身する。代表的なスタイルと在住者の楽しみ方を解説する。
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イカン・バカル(ikan bakar)は「焼き魚」という意味だ。インドネシアに来て初めてこの料理を食べた人の多くは「炭火で焼いた魚にサンバルをかけただけのシンプルな料理」という印象を持つ。それは間違いではないが、半分しか見えていない。
屋台のイカン・バカル
ジャカルタ、スラバヤ、マカッサルのどこでも、夜になると路上に炭火の煙が上がる。地元の人が自転車やバイクを止め、プラスチックのテーブルに座って焼き魚を食べている。この屋台スタイルのイカン・バカルは1人前2万〜5万IDR(約192〜480円)で食べられる。
使う魚はイカン・グラメ(グラミー、淡水魚)、イカン・バラムンディ(バラマンディ)、イカン・ニラ(ティラピア)などが多い。海沿いではカジキやカレイ系の魚も使われる。
結婚式と高級店のイカン・バカル
スラウェシ(マカッサル料理)やパプア料理の影響が強い地域では、イカン・バカルは祝いの席の中心に置かれる料理だ。大きなマグロ(トン・バカル)を丸ごと焼いた料理は、結婚式やお祝いの宴席で登場する。
バリ島では高級リゾートのレストランがイカン・バカルをメニューに入れ、1人前10万〜25万IDR(約960〜2,400円)以上で提供する。同じ「焼き魚」でも、使う魚の種類、マリネの内容、サンバルの種類、盛り付けで全く別の料理になる。
地域による違い
マナド(北スラウェシ): ニンニクと唐辛子をたっぷり塗り込んだ辛めのスタイル。
マカッサル(南スラウェシ): バカルの前にケチャップマニス(甘辛いソース)を塗るのが特徴。
バリ: ターメリック、レモングラス、バリ式スパイスペースト(ブンブ・バリ)でマリネ。鮮やかな黄色がつく。
パダン(西スマトラ): サンバル・ヒジャウ(青唐辛子のサンバル)と一緒に出る。酸味が強め。
食べ方
ライス(ナシ・プティ)と一緒に食べるのが基本。手で食べる地域も多く、葉っぱ(バナナの葉やトウモロコシの皮)の上に盛られて出てくることもある。テーブルに複数のサンバルが置かれている場合は、全種類試してみると違いがよく分かる。
在住者の楽しみ方
ジャカルタで屋台のイカン・バカルに通い始めると、「あそこの店は魚が新鮮」「この店のサンバルがうまい」という自分なりのお気に入りが生まれてくる。屋台の常連になると顔を覚えてもらえ、会話が増えていく。食を入口にしたコミュニティへの参加——インドネシアらしい生活の始め方のひとつだ。