インドネシアのバイク免許取得と運転事情——2億台が走る国のリアル
インドネシアの登録バイク台数は約1.3億台。在住外国人がバイク免許(SIM C)を取得する手順・費用・実技試験の内容と、ジャカルタ・バリでのバイク運転事情を解説。
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インドネシアの道路を走る車両の約84%はバイク(sepeda motor)だ。登録台数は約1.3億台(2023年、BPS統計)。人口2.7億人の国で、約2人に1台のバイクがある計算になる。ジャカルタの朝の通勤ラッシュを見れば、この数字が大げさでないことがわかる。
外国人がバイク免許を取得する方法
インドネシアでバイクを運転するには、SIM C(Surat Izin Mengemudi C=バイク用運転免許証)が必要だ。外国人はKITAS(一時居住許可証)を持っていれば取得できる。
取得の手順
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必要書類を準備する
- KITAS(有効期限内)
- パスポートのコピー
- 証明写真(3×4cm)
- 健康診断書(Surat Keterangan Sehat、最寄りの診療所で取得。IDR 50,000〜100,000=約475〜950円)
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最寄りのSATPAS(運転免許試験場)に行く
- ジャカルタではデアン・モチョット(Daan Mogot)の試験場が外国人対応で知られている
- 朝早く(7時台)に行くのが推奨。混雑すると1日がかりになる
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筆記試験を受ける
- コンピューターベースの選択式。30問中21問以上で合格
- インドネシア語が基本だが、英語版がある試験場もある
- 交通標識・交通法規の基本的な内容
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実技試験を受ける
- 試験場内のコースで実施。パイロン(コーン)の間をスラロームで走行する
- 8の字走行、直線走行(平均台のような細い道を通る)
- 試験車両は試験場で借りられることが多い(小排気量のスクーター)
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合格したらSIM Cが発行される
- 費用:IDR 100,000〜250,000(約950〜2,375円)程度(手数料含む)
- 有効期間:5年
国際免許証は使えるか
ジュネーブ条約に基づく国際免許証は、法律上はインドネシアで使えるとされるが、実態は微妙だ。警察に止められた際に国際免許証を見せても認めてもらえないケースが報告されている。長期滞在者はSIM Cを取得しておく方が安全だ。
運転事情のリアル
ジャカルタ — 渋滞がひどく、バイクは車の隙間を縫って走る。歩道を走るバイクも日常茶飯事だ。信号無視・逆走・無灯火も珍しくない。交通ルールは「存在するが厳格に適用されない」のが実態だ。
バリ — 観光客がレンタルバイクで事故を起こすケースが多発している。バリの道路は舗装が悪い箇所があり、雨の日は特に滑りやすい。無免許運転は保険が適用されない可能性が高い。
地方都市 — 交通量が少なく走りやすいが、舗装されていない道路や動物(犬・鶏)の飛び出しに注意が必要だ。
在住者が知っておくべきこと
ヘルメット義務 — 法律で義務化されている。違反するとIDR 250,000(約2,375円)の罰金。SNI規格のヘルメットが必要で、IDR 100,000〜300,000(約950〜2,850円)程度で購入できる。
保険 — 強制保険(Jasa Raharja)はバイク登録時に含まれるが、補償額は限定的。任意保険に加入している在住外国人は少ないが、事故時の医療費を考えると検討する価値はある。
Grab/Gojekという選択肢 — 自分で運転するリスクを避けたいなら、配車アプリのGojek(バイクタクシー)やGrab Bikeを使う方法もある。5km程度の移動でIDR 10,000〜20,000(約95〜190円)。安全面を考えると合理的な選択だ。
インドネシアでバイクに乗ることは、この国の交通文化に直接入り込むことでもある。免許を取って自分で走ることで見える景色は、車の後部座席からとは確実に違う。