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産業・経済

インドネシアはゴム大国だが、タイヤはほぼ輸入——天然ゴムの産地と消費地のねじれ

インドネシアは世界有数の天然ゴム生産国だが、加工産業は隣国に後れをとっている。スマトラ島のゴム農家の実態と、天然ゴム産業の構造的な課題を解説する。

2026-07-11
天然ゴム農業スマトラ産業構造経済

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タイ、インドネシア、マレーシアは世界の天然ゴム生産量の大部分を占める。そのインドネシアで生産された天然ゴムの多くは原材料として輸出され、加工品として戻ってくる。タイヤや手袋として国内に流通しているゴム製品の多くは、隣国や中国で製造されたものだ。

スマトラのゴム農家の現実

インドネシアのゴム生産はスマトラ島(南スマトラ州、ジャンビ州など)が中心だ。大規模プランテーションより小規模農家(スモールホルダー)が生産量の大半を担っているとされている。

農家にとってゴムの木は「銀行の代わり」という表現がある。毎朝早い時間帯に木に切り込みを入れてラテックスを採取し、それを集めて業者に売る。価格は国際相場に連動するため、農家の収入は変動しやすい。

なぜ加工産業が育たないのか

天然ゴムを生産していながら、タイヤメーカーや医療用手袋メーカーが隣国(特にマレーシアやタイ)に多い理由のひとつは、インフラと産業集積の差だ。マレーシアはゴム関連の研究機関・試験施設が充実しており、品質管理のエコシステムが整っている。

インドネシア政府はゴムの下流産業(加工・製品化)を国内で育てる政策を進めてきているが、進捗はゆっくりだ。

ゴム農家と生活水準

国際的な天然ゴム価格が低迷した時期(2010年代後半)には、スマトラの農村でゴム農家の収入が大幅に落ちた。そのため、農家の子どもの世代は農業を継がずにジャカルタや工業団地に移住するケースが増えている。

農業から離村した若者が都市部の製造業や非正規雇用に就き、農村の高齢化が進む——これはインドネシアに限らず多くの農業国が直面している構造変化だ。

在住者との関わり

バリ島の観光土産にゴム製品(スリッパ、ストラップ等)が多いのも、スマトラのゴムが地場産業の原材料になっているから。観光エリアの工芸品店で「インドネシア製」と書かれたゴム製品を手に取るとき、その原材料がどこから来ているかを想像してみると、インドネシアの産業構造が少し見えてくる。

ゴム農家が暮らすスマトラの農村は、ジャカルタの高層ビル群とは全く異なるインドネシアの顔だ。

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