インドネシアの音と共に暮らす——アザーン・バイク・工事の「音量大国」
インドネシアで暮らし始めると、まず「音」に驚く。夜明けのアザーン、バイクのエンジン音、週末の音楽イベント。この騒音とどう折り合いをつけるか、在住外国人のリアルを伝える。
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ジャカルタで最初の夜を過ごした翌朝、午前4時15分頃に目が覚める人が多い。アザーン(礼拝の呼びかけ)だ。近所のモスクのスピーカーから流れるアラビア語の祈りは、日本で聞く早朝のものとは音量も質感も違う。
インドネシアは「音の国」だと思う。
アザーンと生活リズム
1日5回のアザーンはイスラム信仰の中心にある。最初は夜明け前(ファジュル)、最後は夜(イシャ)。うち最も日常生活に影響するのが夜明けのアザーンだ。
首都ジャカルタだけで数千のモスクがある(推定)。住宅地では複数のモスクが近距離に並ぶこともあり、アザーンが重なり合って聞こえる。耳が慣れるまでに数週間かかる人もいれば、生活リズムの一部として受け入れる人もいる。
インドネシア政府は2022年頃からアザーンの音量を一定程度規制する通達を出しているが、実際の運用は地域差が大きい。
バイクの爆音
ジャカルタの交通騒音の主役はバイクだ。信号待ちで何百台というバイクが並び、青になった瞬間に一斉にアクセルを開く。改造マフラーをつけたバイクがわざと音を大きくして走ることもある。
この騒音への対策として、防音サッシや白色雑音の機械を使う在住外国人もいる。住む場所を選ぶ際に「大通り沿いを避ける」は基本のチェックポイントだ。
イベントの音楽
週末の住宅地では突然、大音量の音楽が流れることがある。結婚式、割礼の儀式(sunat)、建物の竣工祝い、地域の行事——大型スピーカーを外に出して昼夜関係なく音楽をかける慣習がある。
深夜0時を過ぎても続くことがあり、外国人が「苦情を言っていいのか」「どこに言えばいいのか」と戸惑うケースは少なくない。インドネシア社会では「祝い事のときは仕方ない」という暗黙の了解があり、隣人が直接抗議することは少ない。
折り合いのつけ方
長く住んでいる在住日本人に「騒音は気にならなくなりましたか?」と聞くと、多くが「慣れた」と答える。音のある生活が「普通」になる。
それでも慣れるまでの数か月は、耳栓・ホワイトノイズマシン・防音カーテンが実用的な味方になる。住居選びの段階でモスクとの距離を確認するのも有効だ(Google Mapsでモスクの位置を確認してから内見に行く、という人もいる)。
音が多いことを「文化が豊か」と言うか「うるさい」と言うかは、人によって、そして慣れの度合いによって変わる。ただ確かなのは、インドネシアは静かな国ではないということだ。