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自然・気候

世界第2位の海洋プラスチック汚染国——インドネシアで捨てることの意味

インドネシアは中国に次いで世界で最も多くのプラスチックごみを海洋に流出させている国とされる。なぜこうなったのか。そしてインドネシア社会はこれをどう受け止めているのか。

2026-06-04
環境問題プラスチック海洋汚染廃棄物

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バリ島のクタビーチに打ち上げられたプラスチックごみの写真が2017年ごろから世界的に拡散した。透き通った海と廃棄物の対比は衝撃的で、それがインドネシアを「環境問題の代名詞」として世界に印象づけた。

でも少し立ち止まって考えてみたい。なぜインドネシアはここまでになったのか、そしてインドネシアで暮らす人々は何を考えているのか。

数字の重さ

研究者のJambeck et al.(2015年、Science誌掲載)の推計によれば、インドネシアは中国に次いで世界で2番目に多くの海洋プラスチックを排出している。年間約130万トンのプラスチックごみが海に流れ込んでいるとされる(推定値)。

この数字の背景には、廃棄物収集システムの未整備がある。ジャカルタなどの都市部では行政による収集が機能しているが、農村部や離島ではごみ収集車が来ない地域が多い。住民は昔ながらの「燃やす」か「川に捨てる」という方法をとるしかない。川に捨てられたごみは雨季に一気に海へ流れる。

捨てることへの文化的背景

インドネシアで生活していると、「その辺に捨てる」行為を目にする機会がある。道端にビニール袋を放る、バイクの窓から空き缶を投げる。これを「モラルの問題」とだけ見るのは単純すぎる。

インドネシアが農村社会だった時代、ごみはほぼ全て有機物だった。バナナの葉に包んだ食べ物のカスや竹の容器は、土に還る。川に流しても問題がなかった。この「自然に帰る」感覚が、プラスチック時代になっても行動パターンとして残っている。

都市化とプラスチックの普及は50年ほどの歴史しかないが、「ごみとの付き合い方」の文化変容はそれより遅い。

変化の兆し

2018年、インドネシア政府は2025年までに海洋プラスチック汚染を70%削減するという目標を掲げた。レジ袋の有料化や、大手チェーン店でのプラスチックストロー禁止が各地で広がっている。

バリ州は2019年にレジ袋・ストロー・発泡スチロール食器の使用を禁止する条例を施行した。違反業者への罰則もある。首都ジャカルタでも2020年からレジ袋が有料化された。

草の根レベルでも動きがある。海岸清掃ボランティアが週末に活動し、SNSで発信する若者たちが増えている。「Bebas Plastik(プラスチックフリー)」を掲げたカフェや雑貨店も目立つようになった。

問題の根はどこに

国際的な批判はインドネシアに向くが、プラスチックそのものを大量に輸出しているのは先進国の製造業でもある。日本からもプラスチック廃棄物がアジア諸国に輸出されてきた歴史がある。「誰が汚しているか」の構造は一面的ではない。

インドネシアで暮らす中で、清潔さへの意識は個人によって大きく異なる。徹底的にリサイクルするpemulung(廃品回収業者)がいる一方で、無頓着な人もいる。どちらも同じ社会の中にいる。

変化は起きている。遅いけれど。

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