ポリシ・ティドゥル(眠れる警察官)——インドネシアの速度抑制丘が異常に多い理由
インドネシアの住宅街や道路には日本の数倍の密度でスピードバンプが設置されている。「眠れる警察官」と呼ばれるこの構造物の背景と、在住者ドライバーが知っておくべきことを解説する。
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インドネシアで初めて車を運転した人が必ず言うのは「ポリシ・ティドゥル(polisi tidur)が多すぎる」だ。直訳すると「眠れる警察官」。日本語ではスピードバンプまたは速度抑制丘と呼ばれる、道路に設置された盛り上がった構造物のことだ。
ジャカルタ近郊の住宅街を車で走ると、100mに2〜3個のポリシ・ティドゥルがある道路が普通に存在する。スピードを落とさないと車の底を打つ。
なぜこれほど多いのか
インドネシアの道路交通安全は課題が多い。信号機が少ない地域、歩道がない道路、子どもが路上で遊ぶ住宅地——こうした環境でスピードを抑制するには、物理的な構造物が最も確実だという判断がある。
また、住民が自主的にポリシ・ティドゥルを設置するケースもある。RT(隣組)の長が「うちの道路は車が速すぎる」と判断し、地域住民の合意で設置するパターンだ。許可の手続きが曖昧なまま設置されているものも多く、道路によって高さ・形状がバラバラなのはそのためだ。
高さと形状の違い
公道に設置される規格のポリシ・ティドゥルは高さと傾斜角度に一定の基準があるが、住宅地の手製のものは規格外の場合が多い。非常に高く急傾斜のものは、車のスピードを落とさないと底打ちするどころか、前後の重量バランスが崩れることもある。
バイクドライバーのゴジェックが住宅地で遅くなるのも、ポリシ・ティドゥルのせいだ。
在住者ドライバーへの影響
ジャカルタ近郊でマイカー・レンタカーを運転する際、Googleマップのナビを使っていてもポリシ・ティドゥルの位置は表示されない。「この道は全然混んでいないのに遅い」と感じたら、スピードバンプが連続している道だと考えていい。
夜間は特に注意が必要で、照明が不十分な道路では視認が遅れる。ヘッドライトを活用し、住宅街では初めから速度を落とす習慣が身を守る。
「眠れる警察官」という名前の由来
警察官がいなくても、物理的な構造物が代わりにスピードを抑制してくれる——そこから「眠れる警察官」という名前がついた。インドネシアだけでなく東南アジア・中東・南米でも同様の呼び名が使われていることがある。
日本のスピードバンプより断然多く、道路整備の違いを体感できる文化的な違いのひとつだ。