インドネシアで外国人は不動産を買えるのか——Hak Pakai制度の仕組みと注意点
インドネシアでは外国人が土地を所有(Hak Milik)することは法律で禁止されている。使用権(Hak Pakai)を使った合法的な不動産取得方法と、ノミニー方式のリスクを解説。
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インドネシアで家を買いたい——と思った瞬間に壁にぶつかる。外国人は土地の所有権(Hak Milik)を持てない。1960年の土地基本法(UUPA)で明確に禁止されている。ただし「買えない」と「住めない」は別の話だ。
Hak Pakai(使用権)で取得する
外国人が合法的に不動産を取得できるのはHak Pakai(使用権)という仕組みだ。土地の「所有」はできないが、「使用」はできる。
- 期間: 最長30年。延長20年+更新30年で合計最大80年
- 対象: KITAS(一時滞在許可)またはKITAP(永住許可)を持つ外国人
- 最低価格: ジャカルタで最低50億IDR(約4,750万円)、バリで最低30億IDR(約2,850万円)、その他の地域で最低20億IDR(約1,900万円)
- 用途: 居住用のみ。転貸・商用利用は不可
ノミニー方式の危険
「インドネシア人の名義で買えばいい」——このノミニー方式は事実上の脱法行為であり、極めてリスクが高い。
ノミニー名義の不動産は法的にはノミニーの所有物だ。名義人が死亡した場合、その相続人に権利が移る。名義人と関係が悪化した場合、不動産を取り返す法的手段がほぼない。最高裁はノミニー方式による外国人の土地取得を繰り返し無効と判断している。
PT PMA(外国資本会社)を通じた取得
法人としてはPT PMA(外国資本の有限会社)を設立し、Hak Guna Bangunan(建物建設権)を取得する方法がある。
- Hak Guna Bangunan: 最長30年。延長20年+更新30年
- 用途: 商用・居住用
- メリット: 法人名義なので個人のビザに依存しない
- デメリット: PT PMAの設立・維持コスト。最低資本金100億IDR(約9,500万円)が必要
小規模な居住用物件にはコストが見合わないが、投資目的の商業物件であれば現実的な選択肢だ。
アパートメント(ストラタタイトル)
マンションの一室であれば、外国人がHak Pakai付きのストラタタイトル(区分所有権)を取得できる。在インドネシア日本人が最も多く利用する方法だ。
ジャカルタの外国人向けアパートメント(Sudirman、Kuningan、Senopati周辺)は1ベッドルームで15億〜30億IDR(約1,425万〜2,850万円)が相場。築年数や設備で大きく変わる。
税金と維持費
| 項目 | 税率・目安 |
|---|---|
| BPHTB(取得税) | 取引価格の5% |
| PBB(固定資産税) | 年間0.1〜0.3% |
| 管理費(アパートメント) | 月30万〜100万IDR(約2,850〜9,500円) |
| 公証人費用 | 取引価格の1〜2.5% |
在インドネシア日本人への注意点
- 帰国時: Hak Pakaiは外国人がインドネシアを離れた場合、1年以内に処分する義務がある
- 相続: 相続人がインドネシア非居住者の場合、相続後1年以内に処分が必要
- 弁護士の起用: 不動産取引はインドネシアの不動産法に詳しい弁護士を必ず通す
「外国人は買えない」で思考停止しがちだが、制度を理解すれば合法的な取得方法は存在する。事前調査の深さが結果を左右する。