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ソトは「スープ料理」ではなくインドネシアのアイデンティティ——地域ごとに別物になる国民食

インドネシア全土に存在するソト(スープ料理)は、地域によって味も具材もまったく異なる。ソト・アヤム、ソト・バンジャル、ソト・マカッサルなど代表的なバリエーションとその違いを紹介する。

2026-07-06
食文化ソト郷土料理インドネシア料理地域差

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「インドネシアのソトを食べましたか?」と聞かれたとき、どの地域のソトのことを指しているのかを確認しなければ会話が噛み合わなくなる。日本で「ラーメン」と言っても博多と札幌でまったく別物であるように、インドネシアの「ソト」も地域によって色、風味、具材が全く違う。

ソトとは何か

ソトはインドネシア語でスープを意味し、鶏、牛、内臓などを使ったスープベースの料理の総称だ。全土に数十種類のソトが存在するとも言われ、インドネシアの「非公式な国民食」の一つとして認識されている。

どのワルン(屋台食堂)でもほぼ必ず置いてあり、朝食から夜食まで食べられる。1杯2万〜4万IDR(約192〜384円)が相場だ。

代表的なバリエーション

ソト・アヤム(鶏スープ): 全国どこにでもあるが、味は地域で異なる。ジャワ版は黄色みがかった透明スープで、ターメリックとレモングラスが効いている。

ソト・バンジャル(南カリマンタン): 細い米麺とゆで卵が入り、スパイスが複雑。南カリマンタン・バンジャルマシンの名物で、首都圏にも専門店がある。

ソト・マカッサル(スラウェシ): コニ(牛の尾)や内臓を使ったスープで、濃厚なコラーゲンスープが特徴。ご飯と一緒に食べるのが一般的。

ソト・ブタウィ(ジャカルタ): 牛肉と牛の内臓を使ったコク深いスープ。ジャカルタ発祥の料理で、ブタウィ(ジャカルタの先住民)の伝統食。

ソト・ラモン(スラバヤ): 東ジャワ・スラバヤが発祥とされるシンプルな鶏ガラスープ。日本のラーメンとは別物だが、インドネシア語で「ラモン」と表記されることがある(語源は別)。

食べ方のルール

ソトに何を合わせるかも地域によって異なる。ご飯をスープに浸す地域、ご飯を別皿で食べる地域、ケトゥパット(葉で包んだ蒸し米)と一緒に食べる地域がある。テーブルに置かれたサンバル(唐辛子ペースト)とクルプック(揚げせんべい)は共通の友だ。

ジャカルタで地方のソトを食べる

ジャカルタは全国のソトが集まる街で、専門店を探せば北スマトラのソト・タパヌリから東ヌサ・トゥンガラのソトまで食べられる。モナス(独立記念塔)周辺や南ジャカルタのテペル通りには複数のソト専門店が並んでいる。

在住者の楽しみ方

長くインドネシアに住むほど、地域のソトの違いが分かるようになってくる。出張でバンジャルマシンに行ったとき、スラウェシの会議後に同僚に連れて行ってもらったソト・マカッサル——そういう形で食の地図が広がっていく。インドネシア人の同僚や友人に「地元のソトはどれ?」と聞くと、たいてい目が輝く。食の話はコミュニケーションの最良の糸口だ。

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