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タフとテンペ——インドネシアが大豆を国民食に変えた方法

インドネシアのタフ(豆腐)とテンペ(発酵大豆食品)は、安価なたんぱく源として国民の食を支えている。日本の豆腐との違い、テンペの製法、そして世界的なスーパーフードブームとの接点。

2026-05-26
テンペタフ豆腐大豆食文化栄養

この記事の日本円換算は、10,000IDR≒95円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(IDR)の金額を基準にしてください。

インドネシアの食堂(ワルン)でナシチャンプルを注文すると、ほぼ必ずテンペとタフが添えられている。どちらもIDR 2,000〜3,000(約19〜29円)。卵1個と同じくらいの値段で、たんぱく質が手に入る。

年間所得が日本の10分の1の国で、2億8,000万人がたんぱく質を摂取できている一因が、この二つの大豆食品だ。

タフ——日本の豆腐とは別物

タフ(tahu)は大豆から作る点では日本の豆腐と同じだが、食感と使い方が違う。インドネシアのタフは水分が少なく、揚げても崩れにくい。

よく見かける調理法は「タフ・ゴレン」(揚げ豆腐)。外はカリカリ、中はもちっとした食感で、サンバル(チリソース)をつけて食べる。屋台では1個IDR 1,000〜2,000(約10〜19円)で買える。

バンドゥン近郊のスメダンには「タフ・スメダン」という名物があり、工場から直売する揚げ豆腐の店が通り沿いに並んでいる。高速道路のサービスエリアにも出店していて、長距離ドライブの定番おやつだ。

テンペ——世界が注目する発酵食品

テンペは、ゆでた大豆をリゾプス菌(Rhizopus属のカビ)で発酵させたもの。大豆がカビの菌糸で板状に固まる。見た目は「白い塊」で、初見では食欲が湧かない人もいるかもしれない。

しかし栄養価が高い。100gあたりたんぱく質約20g、食物繊維も豊富。発酵によって大豆のイソフラボンが体に吸収されやすい形になる。

欧米では「テンペ」が植物性たんぱく質のスーパーフードとして注目されている。ニューヨークやロンドンのヴィーガンレストランでテンペバーガーが$15で売られている横で、インドネシアではIDR 3,000のテンペゴレンが路上で売られている。

なぜインドネシアで発展したのか

テンペの起源はジャワ島。少なくとも16世紀には存在していたとされる。

大豆は東アジア原産だが、日本では味噌・醤油・豆腐という加工ルートを進化させた。インドネシアでは「カビで発酵させて固める」という独自のルートに分岐した。気候(高温多湿)がリゾプス菌の繁殖に適していたことが大きい。

在インドネシア日本人にとって

日本人にとって、タフとテンペは最も馴染みやすいインドネシア食のひとつだ。味は淡白で、調味料次第でいかようにもなる。

テンペを薄切りにして醤油で炒めると、日本の精進料理に近い味になる。バリの自然食品店ではオーガニックテンペが外国人向けに売られているが、ローカルのパサール(市場)で買えばIDR 5,000(約48円)で1ブロック手に入る。

大豆が国民食になる国と、醤油に変わる国。同じ原料でも、文化が違えば全く別のものが生まれる。

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