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ジャムウ(jamu)——インドネシア伝統薬と在住者の活用

ジャムウはハーブ・スパイスを調合したインドネシアの伝統的な飲み薬。路上の行商から現代的なウェルネス製品まで進化した伝統医療の全体像を、在住者の視点で紹介します。

2026-04-23
ジャムウ伝統医療ハーブインドネシア文化健康

この記事の日本円換算は、10,000IDR≒95円で計算しています(2026年4月時点)。

朝、ジョグジャカルタの住宅街を歩いていると、竹のかごを背負った女性がゆっくり歩いている。立ち止まると、細長いガラス瓶が並んでいる。黄色い液体、茶色い液体、緑がかった液体——これがジャムウ(jamu)の行商だ。1本5,000〜10,000IDR(47〜95円)で買えるこの飲み物は、インドネシアに数百年続く伝統医療だ。

ジャムウとは何か

ジャムウはジャワ語・インドネシア語で「薬草飲料」を意味する。生姜(Jahe)、ウコン(Kunyit)、唐辛子(Cabai)、ショウガ科の植物、タマリンドなど複数のハーブ・スパイスを組み合わせて作る。

目的に応じてレシピが異なる。代表的な種類:

  • Jamu Kunyit Asam(クニット・アサム): ウコン+タマリンド。抗炎症・消化促進の目的で飲まれる
  • Jamu Beras Kencur(ブラス・クンチュール): 米+カンプファールジンジャー。体力回復・食欲増進
  • Jamu Temulawak: テムラワック(ジャワ生姜)を主原料。肝臓機能のサポートとして知られる
  • Jamu Jahe Merah(赤生姜): 体を温め、免疫力を高めるとされる

2023年、インドネシアのジャムウ文化はUNESCOの無形文化遺産に登録された。

現代化するジャムウ市場

行商が背負って売り歩く「伝統的なジャムウ」の一方で、現代的な形態も普及している。

市販の瓶入り・パウチ入りジャムウ: スーパーマーケットで数千IDR(数十円)から購入できる。Sido Muncul、Nyonya Meneer、Jamu Jabalsyfa等のブランドが全国展開している

ジャムウバー・カフェ: ジャカルタ・バリの都市部には「ジャムウカフェ」が増えており、見た目を整えたジュース感覚のジャムウを提供する。欧米のウェルネストレンドと融合した形態で、価格は35,000〜80,000IDR(332〜760円)程度

ウェルネス製品: サプリメントカプセル・スキンケアに転換された製品も流通している

在住者としての関わり方

インドネシアに住む外国人の間でも、ジャムウを日常的に取り入れている人はいる。

特に多いのがジャフェ・メラー(Jahe Merah、赤生姜)のティーだ。インドネシアでは風邪のひき始めや喉の不調に飲むもので、スーパーで粉末パックが安価(数百円程度)に売られている。味は日本の生姜湯に近く、日本人にも馴染みやすい。

一方で注意が必要なのは、医薬品との相互作用だ。ウコン(Kunyit)は血液凝固に影響することがあり、血液希釈薬を服用中の人は摂取量に注意が必要だ。持病がある人は事前に医師に確認することが望ましい。

日本語対応のクリニックや薬局は都市部(ジャカルタ、バリのデンパサール等)に存在する。ジャムウを試してみたい場合は、まず行商や市場で少量を試してみることが自然な入口になる。路上で売られているジャムウの衛生面を心配する人もいるが、地元の人たちが長年飲み続けていることを考えると、現実的なリスクは低いと考えられている。

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