デリーの冬の大気汚染——世界最悪クラスのPM2.5と在住者の対策
デリーの冬(10〜2月)はPM2.5濃度が危険レベルに達することがある。世界最悪クラスの大気汚染の実態と、在住者が実践している具体的な対策を解説します。
デリーの冬は、世界の主要都市の中で最も深刻な大気汚染が起きる時期の一つだ。毎年10月末から11月にかけて、PM2.5濃度がWHO基準の50〜100倍に達する日がある。「スモッグシーズン」と呼ばれるこの期間は、外出するだけで体への影響が懸念される。
なぜデリーの冬はひどいのか
主な原因は複数重なる:
- 農業廃棄物の焼却: デリー周辺のパンジャブ州・ハリヤナ州の農地で、収穫後の藁を燃やす慣行(パラリ焼き)が10〜11月に集中する
- 気象条件: 冬は大気が安定して汚染物質が滞留しやすく、風が弱い
- 車両排気: 世界有数の交通量
- 工場・建設ほこり: 大規模な建設工事が年中行われている
これらが重なるデリーの11月は、AQI(大気質指数)が400〜500を超えることがある。AQI300以上は「有害(Hazardous)」に分類され、短時間の外出でも健康影響が出るレベルだ。
在住者の実際の対策
高性能空気清浄機(HEPA)の常時稼働: デリーに住む外国人駐在員の家庭のほぼ全員が、部屋に2〜3台の空気清浄機を設置している。IQAirやDysonなどの高性能機種を使う人が多い。価格は3〜8万円程度。
N95/KN95マスクの常携: 外出時はN95以上のマスクが推奨される。スモッグシーズン中は多くの在住外国人が着用している。インドでも薬局やAmazon.inで購入可能。
換気の制限: スモッグ期間中は窓を開けない。エアコンの外気導入も切る設定が一般的。
屋外運動の停止: AQIが200を超えたら外でのランニングや運動は避ける。インドアスポーツや室内ジムに切り替える。
子どもへの影響と学校の対応
デリーの学校は大気汚染が深刻化すると休校措置が取られることがある。子ども連れの在住者には特に影響が大きく、デリー赴任を断る日本人駐在員の家族もいる。
バンガロールとムンバイの比較
バンガロールは南インドの高原に位置し、デリーほどの大気汚染はない。ただし2015年以降、急激な都市化で悪化傾向にある。ムンバイも海風の影響で比較的マシだが、特定の地区(工業地帯近く)では問題がある。
大気汚染を懸念する家族連れの場合、デリーよりバンガロール・ムンバイを選ぶ理由の一つになっている。