ヒンディー語と英語の使い分け——22の公用語がある国での言語事情
インドには22の公用語と数百の方言がある。英語・ヒンディー語・地域語の使い分けと、在住外国人が最低限知っておくべき言語事情を解説します。
「インドでは英語が通じる」は概ね正しいが、全員に通じるわけではない。英語が機能するのは都市部・教育水準の高い層・ビジネス環境で、地方・農村・サービス業の現場では通じないことがある。インドの言語環境の複雑さは、住み始めてから少しずつ実感するものだ。
インドの言語の複雑さ
インドには憲法が認める22の公用語があり、主要なものだけでヒンディー語・ベンガル語・テルグ語・マラーティー語・タミル語・ウルドゥー語が含まれる。さらに方言や地域語を含めると数百の言語が存在する。
連邦公用語はヒンディー語と英語の2つだが、南インド(タミル・ナードゥ、カルナータカ、アーンドラ・プラデーシュなど)ではヒンディー語への抵抗感が根強く、英語の方が「中立的な言語」として機能することが多い。
都市別の言語環境
デリー・ムンバイ: ヒンディー語が幅広く通じる。英語は教育を受けた層・ビジネス環境で通用。
バンガロール(カルナータカ州): カンナダ語が公用語だが、IT産業の流入で英語が広く使われる。ヒンディー語は必ずしも通じない。
チェンナイ(タミル・ナードゥ州): タミル語が強く、ヒンディー語は歓迎されない場面もある。英語は比較的通じる。
コルカタ(西ベンガル州): ベンガル語が主言語。英語は通じるが、ヒンディー語より英語の方が効果的なことも多い。
在住外国人の実際の言語戦略
多くの在住外国人(日本人含む)は「英語で生活する」方針で、大きな問題はない。バンガロール・ムンバイ・デリーの外国人向け住宅エリア・国際的なレストランやサービスでは、英語だけで完結することが多い。
一方で、地元の市場・近所の商店・家庭の家政婦(メイド)・車のドライバーとのコミュニケーションでは、現地語の基本フレーズが役立つ場面がある。
「ナマステ(こんにちは)」「シュクリア(ありがとう、ウルドゥー語系)」「ダニャワード(ありがとう、ヒンディー語)」程度の挨拶でも、現地の人の反応が変わることがある。
英語の「インド訛り」への慣れ
インドの英語(インドイングリッシュ)は独特のアクセントとリズムを持つ。文末を上げる話し方、「itself」「only」を強調するために文末に付ける用法("I told you only"など)は、インド英語特有のパターンだ。最初は聞き取りにくいと感じる日本人も多いが、1〜2ヶ月で耳が慣れることがほとんど。
インドで英語が通じる環境に身を置き続けることは、英語力の向上という意味でも非常に恵まれた環境だ。