ハイデラバードのIT回廊——バンガロールの次を狙う都市の実力
HITEC Cityに400社以上のIT企業が集積するハイデラバード。Amazon、Google、Metaがインド第2のテック拠点として選んだこの都市の魅力と課題を在住外国人視点で紹介する。
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ハイデラバードのIT輸出額は約₹2.41 lakh crore(約4.3兆円、2023-24年度、STPI Hyderabad)。バンガロールに次ぐインド第2位のIT都市だが、成長率ではバンガロールを上回る年もある。
HITEC Cityという名の計画都市
ハイデラバードのIT産業の心臓部は「HITEC City(Hyderabad Information Technology and Engineering Consultancy City)」。1998年に当時のアンドラ・プラデーシュ州首相チャンドラバブ・ナイドゥの主導で開発が始まった計画都市だ。
現在、HITEC CityとそのRing Road沿いには、Microsoft、Amazon、Google、Meta、Apple、Qualcomm、Deloitte、Accentureなど400社以上のIT企業が集積している。Microsoftのインド開発センター(IDC)はハイデラバードに本拠を置き、約1万人のエンジニアを抱える。
バンガロールと何が違うか
バンガロールのIT産業は1990年代から自然発生的に成長した。対してハイデラバードは州政府が意図的に誘致した「政策主導型」のテックハブだ。
テランガナ州政府はIT企業に対して法人税の減免、土地の優先割当、シングルウィンドウ(一括許認可)システムを提供している。この「政府が全力で後押しする」姿勢がハイデラバードの強みだ。
生活コストの差も大きい。
- ワンルームの家賃: ハイデラバード ₹12,000〜20,000(約2.2万〜3.6万円) / バンガロール ₹15,000〜30,000(約2.7万〜5.4万円)
- レストランでの昼食: ハイデラバード ₹150〜250(約270〜450円) / バンガロール ₹200〜350(約360〜630円)
渋滞もバンガロールほど深刻ではない(ハイデラバードも渋滞するが、バンガロールの「2時間で10km」に比べるとまだましだ)。
ビリヤニの街としてのアイデンティティ
ハイデラバードといえばビリヤニ。IT企業のランチタイムには、HITEC City周辺のレストランからビリヤニの香りが漂ってくる。Paradise Restaurant、Bawarchi、Shah Ghouse——ハイデラバーディ・ビリヤニの名店は地元のIT労働者にとって福利厚生のようなものだ。
冗談ではなく、IT企業の採用面接で「ハイデラバードのビリヤニ」を売り文句にするリクルーターがいる。食の魅力は、テック人材の獲得競争においても無視できない要素になっている。
課題と将来
ハイデラバードの課題はインフラの追いつきだ。HITEC CityとGachibowli地区の人口密度はこの10年で急増し、水道・下水・道路が追いついていない。特に夏場の水不足は深刻で、タンクローリーで水を買う住宅も少なくない。
ハイデラバード・メトロ(2017年開業)の延伸が進行中で、空港からHITEC Cityを結ぶ路線が計画されている。完成すれば空港アクセスが大幅に改善される。
バンガロールの混雑と高コストに疲れたIT企業・エンジニアの受け皿として、ハイデラバードの存在感は今後も高まりそうだ。