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夜行列車スリーパークラス——インド鉄道の移動する宿泊施設

インド鉄道のスリーパークラス(SL)は、片道数百円で数百キロを移動しながら眠れる「走る宿」です。上段・中段・下段のベッド選び、チケット予約のコツ、車内での過ごし方、そして夜行列車でしか見えないインドの風景を伝えます。

2026-05-25
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この記事の日本円換算は、1INR≒1.8円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(INR)の金額を基準にしてください。

デリーからコルカタまで約1,500km。飛行機なら2時間半。夜行列車のスリーパークラス(SL)なら17〜20時間。料金は₹400〜₹700(約720〜1,260円)。この「走る宿泊施設」を選ぶ理由は、安さだけではない。

クラスの違い

インド鉄道の寝台車は大きく4クラスある。

  • 1A(First AC): 個室・エアコン付き。₹3,000〜₹5,000。プライバシーと静寂がある
  • 2A(Second AC): 2段ベッド・エアコン付き・カーテンあり。₹1,500〜₹2,500
  • 3A(Third AC): 3段ベッド・エアコン付き。₹800〜₹1,500。外国人に人気
  • SL(Sleeper): 3段ベッド・エアコンなし・窓は格子。₹400〜₹700。最も庶民的

SLクラスは窓が全開で、走行中の風がそのまま入ってくる。夏場は暑いが、冬場や高原ルートでは心地よい。エアコン車両にはない「インドの匂い」と「外の音」が車内に流れ込む。

ベッドの選び方

3段ベッドの上段(Upper Berth)は昼間も横になれるので、乗車時間が長い場合に有利だ。下段(Lower Berth)は昼間ベンチとして共有されるため、知らない人が座りに来る。中段(Middle Berth)は昼間は畳まれているため、使えるのは夜だけ。

通路側の2段ベッド(Side Upper / Side Lower)は幅が狭いが、人の出入りが少ない。

予約はIRCTC(Indian Railway Catering and Tourism Corporation)のウェブサイトから可能。外国人は「Foreign Tourist Quota」という別枠があり、インド人向けが満席でも取れることがある。

車内の一夜

夕方に乗車すると、チャイ売り(「チャーイ、チャーイ」という独特の節回し)が何度も通る。₹10〜₹15で紙コップに入った甘いチャイが手に入る。夕食はパントリーカー(食堂車)から注文するか、停車駅のプラットフォームで弁当を買う。ビリヤニやターリーが₹50〜₹100(約90〜180円)。

22時頃にベッドを展開し、自分のシーツ(または鉄道が配布するシーツ・毛布セット)を敷いて寝る。SLクラスでは寝具の提供がないため、自分で持参する必要がある。

セキュリティと注意点

荷物はベッドの下に押し込み、チェーンロックでベッドの金属フレームに固定する。チェーンロックは駅の売店で₹50〜₹100(約90〜180円)で売っている。貴重品は枕元のポーチに入れて眠ること。

深夜の停車駅で車内に入ってくる物売りや物乞いに起こされることもある。不快なら断れば済むが、最初は驚くかもしれない。

夜明けに窓から差し込む光で目が覚めると、昨夜とはまったく違う風景が広がっている。デカン高原の赤い大地、ガンジス平原の緑——移動そのものが体験になる列車旅だ。

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