Kaigaijin
海外在住日本人のメディア
科学・技術

インドの宇宙開発——月探査成功とISROの技術力

2023年8月、インドは月の南極への着陸に世界初成功しました。ISROの低コスト宇宙開発モデル、火星探査機マンガルヤーンの成功、インドのソフトパワーとしての宇宙開発を解説します。

2026-04-25
宇宙開発ISROチャンドラヤーンテクノロジーインド

この記事の日本円換算は、1INR≒1.8円で計算しています(2026年4月時点)。

2023年8月23日、インドの月面探査機チャンドラヤーン3号が月の南極近傍に世界初の軟着陸を成功させた。インド全土が熱狂し、ISRO(インド宇宙研究機関)の科学者たちの映像が世界に流れた。「インドがここまで来たのか」という驚きと誇りが混ざった瞬間だった。

ISROの特徴——低コストモデル

インドの宇宙開発が世界から注目される理由は「コストパフォーマンスの高さ」だ。

2014年の火星探査機マンガルヤーンは、NASAの同種ミッションの10分の1以下の予算(約73億ルピー≒約131億円)で火星軌道投入に成功した。これはハリウッド映画「ゼロ・グラビティ」の製作費より安い、というジョークがインドメディアでよく使われた。

チャンドラヤーン3号の総開支は約6,150億ルピー(約111億円)。NASAのアルテミス計画と比較すると桁違いに安い。

なぜ安くできるのか

インドの宇宙開発の低コスト化の背景には、国内調達比率の高さ・豊富なソフトウェアエンジニア人材・国家機関として人件費を抑えやすい構造がある。また、既存の技術を慎重に改良していくアプローチが失敗コストを下げている。

在住外国人が感じる宇宙開発の雰囲気

バンガロールにはISRO本部とインド宇宙科学データセンターがある。宇宙関連の公開イベントや博物館(ヴィシュヴェーシュワラ工業技術博物館内の宇宙展示等)でインドの宇宙開発の歴史を実感できる。

チャンドラヤーン3号の着陸成功日(8月23日)は「ナショナル・スペース・デー」に制定された。毎年この日にはイベントが開催される。インドが「宇宙大国」として自信を深めていく過程を間近で見られるのは、在住外国人だけの体験だ。

コメント

読み込み中...