インドの税金:駐在員と現地採用が知っておくべき所得税・二重課税の基本
インドの個人所得税の仕組み、居住者・非居住者の区分、日印租税条約による二重課税回避、確定申告の要否まで。インド赴任前に整理しておきたい税務の基礎知識。
この記事の日本円換算は、1INR≒1.8円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(INR)の金額を基準にしてください。
インドに赴任するとき、税務は後回しにしやすいトピックだ。
しかし「インドで働いた分の税金はどこに払うのか」「二重課税になっていないか」という問題は、放っておくと帰国後まで尾を引く。最初に基本を整理しておく。
インドの個人所得税の仕組み
インドの個人所得税は累進課税で、課税年度は4月1日〜翌3月31日だ。
旧制度(Old Regime)と新制度(New Regime)の2つの体系が並立しており、納税者が選択できる(2024年以降は新制度がデフォルト)。
新制度の主な税率(2024-25年度):
- 300,001〜700,000INR(約54万〜126万円):5%
- 700,001〜1,000,000INR(約126万〜180万円):10%
- 1,000,001〜1,200,000INR(約180万〜216万円):15%
- 1,200,001〜1,500,000INR(約216万〜270万円):20%
- 1,500,001INR(約270万円)超:30%
加えて教育税4%(Education and Health Cess)が課される。
居住者・非居住者の区分
インドの税務上、1年間(課税年度内)に182日以上インドに滞在すると「居住者(Resident)」とみなされる。居住者はインド国内外の全収入について課税対象になる。
一方、非居住者(Non-Resident)はインド源泉所得のみが課税対象だ。
短期の出張・赴任初期で182日を超えるかどうかは税務上の大きな分かれ目になる。
日印租税条約による二重課税回避
日本とインドの間には「租税条約」が締結されており、同じ所得に日本とインド双方で税金が課される「二重課税」を回避する仕組みがある。
一般的に、インドで課税された所得に対して日本で「外国税額控除」を適用することで調整される。ただし、駐在形態(出向元が日本会社か・インド法人から給与を受け取るかなど)によって扱いが変わるため、専門家への相談が現実的だ。
確定申告(ITR)
インドで課税対象となる収入がある場合、毎年7月末(課税年度終了後3〜4ヶ月)までに所得税申告書(ITR)をオンラインで提出する必要がある。
多くの場合、会社のHR・経理部門や外部の税理士が対応する。ただ、複数の収入源がある場合・インドと日本の両方で申告が必要な場合は、自分で状況を理解したうえで専門家を動かすことが必要だ。
実務的なアドバイス
着任前・着任後早期に、会社の税務担当または外部の税理士(日系の会計事務所がインド各都市にある)に状況を整理してもらうのが最もリスクが少ない。「自分はどちらの国で課税されるのか」「申告はどちらでいつ必要か」の2点を明確にするだけで、大半の疑問は解消する。
税務は後回しにせず、着任後3ヶ月以内に確認しておく。それだけで帰国後の面倒が大幅に減る。