インドの水事情:1日数時間しか出ない蛇口と、在住者が作る備蓄の技術
インドの多くの都市では水道が24時間供給されない。タンク・フィルター・ウォーターデリバリーを組み合わせた生活インフラの整え方と、水と病気のリスク管理。
この記事の日本円換算は、1INR≒1.9円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
インドのアパートに引っ越して最初に驚くことのひとつが、蛇口から水が出る時間が決まっていることだ。多くの都市では、市の水道は朝6〜8時と夕方18〜20時の1日2回、数時間しか供給されない。その間にタンクに貯めておく仕組みだ。
「水が24時間出て当たり前」という日本の常識をリセットする必要がある。
タンクの仕組み
多くのインドの集合住宅は屋上に大型貯水タンク(オーバーヘッドタンク)を持ち、水道が来ている時間に自動または手動でポンプアップして貯める。住民はこのタンクからの水を使う。
タンクの容量と管理状態は建物によってばらつきがある。タンクが汚れていると水質が悪化するリスクがある。清掃頻度を管理会社・オーナーに確認することは、住居選びの重要な観点だ。
飲料水の確保
水道水を直接飲むのは在住外国人には推奨されない。腸内細菌の環境が異なるため、慣れないうちは軟水・硬水の違いだけでなく微生物のリスクもある。
主な飲料水の確保方法:
- ウォーター・キャン(20Lボトル): 毎週定期配達。1本60〜150INR程度(推定)
- RO浄水器(家庭設置型): 初期費用5,000〜20,000INR程度(推定)。一度設置すれば経済的
- ミネラルウォーターのペットボトル: 1L約20〜30INR(推定)。コスト高で廃棄プラスチックが多い
長期在住者の多くはRO(逆浸透膜)浄水器を設置するか、ウォーターキャン定期配達を使う。
水と消化器系の問題
インド在住の外国人が最初の数ヶ月に消化器系のトラブルを経験することは珍しくない。「デリーベリー」という言葉もある。これは水質だけが原因ではなく(スパイス・細菌・環境が複合する)、体が徐々に慣れていく過程でもある。
氷に注意(外食時の氷は水道水で作られることがある)、生野菜の洗浄水に注意、屋台の水割りドリンクに注意——これらが基本的な予防策だ。
水不足の季節性
3〜5月の夏(モンスーン前)は水不足が最も深刻になる時期だ。タンカー車で水を購入する家庭が出る都市もある(1タンカーで数千INRかかることがある)。バンガロールの水不足は2024年に深刻なレベルになったと報道された。
水が「当たり前にある」環境に慣れた人にとって、インドの水事情は生活観を変える経験になる。節水・貯水・水質管理——これらを日常のスキルとして身につけることがインド生活の基礎になる。