インドのヨガは運動ではない:発祥地で見るヨガの本来の姿
世界に広まったヨガはインドでは単なるフィットネスではなく哲学・呼吸・瞑想の体系だ。リシケシュ・マイソールに集まる修行者の文化と、在住者がヨガと出会う方法。
この記事の日本円換算は、1INR≒1.9円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
東京のヨガスタジオで体験するヨガと、リシケシュのアシュラムで朝6時から行うヨガは、名前が同じでも別物だ。インドでヨガを学ぼうとすると、「運動のヨガ」ではなく「生き方のヨガ」に触れる機会がある。
それが心地いいか、重いかは人による。でもどちらであっても、発祥地で体験することの意味は大きい。
ヨガの本来の体系
ヨガはサンスクリット語で「結合・合一」を意味し、心・体・精神の統合を目指す実践体系とされる。パタンジャリが紀元後3〜4世紀頃に編纂した「ヨーガ・スートラ」では、アーサナ(体位)はヨガの8段階のひとつにすぎない。
呼吸法(プラーナヤーマ)・感覚の制御(プラティヤハーラ)・瞑想(ディヤーナ)・三昧(サマーディ)——これらを含む全体が「ヨガ」だ。現代の西洋で広まったヨガは、このうちアーサナの部分を取り出して発展させたものと見ることができる。
リシケシュ:ヨガの聖地
ガンジス川の上流に位置するリシケシュは「ヨガの世界の首都」と呼ばれることがある。1960年代にビートルズが訪れたことで世界的な知名度を得た。
現在も多くのアシュラム(精神的修行の場)・ヨガスクール・瞑想センターがあり、世界中から修行者・旅行者・ヨガ教師トレーニング(TTC)の受講者が集まる。200時間・300時間のTTCプログラムは1ヶ月単位で受講でき、費用は10万〜30万円程度(推定)。
マイソール:アシュタンガの聖地
カルナータカ州マイソールはアシュタンガヨガの発祥地で、K・パタビ・ジョイスが伝承した。現在も世界中のアシュタンガ修行者がマイソールに集まる。「マイソールスタイル」と呼ばれる個別指導の練習形式はアシュタンガの特徴だ。
在住外国人のヨガとの出会い
バンガロールやデリーに住む外国人が近所のヨガスタジオに通うケースは多い。月額2,000〜8,000INR程度(推定)で週何回でも通えるクラスがある。
早朝のクラスに通うことで、気候が涼しい時間帯に体を動かし、インド人のコミュニティと接点を持てる。言語が違っても、クラスの中では同じポーズをとることで繋がれる。
インドに住んでいるからこそ、ヨガの「源流」に近い何かを感じられる瞬間がある。それを求めてインドに来る人が、今日もリシケシュのガンジス川沿いにいる。