河川汚染と清掃運動——ガンジス川清浄化プロジェクトの現実
ガンジス川は世界で最も汚染された河川のひとつとも言われます。2014年から始まった「ナマミ・ガンゲー」プログラムの進捗、現地で見える変化と課題、在住外国人が感じる環境問題の現実を解説します。
この記事の日本円換算は、1INR≒1.8円で計算しています(2026年4月時点)。
ヴァーラーナシーのガートで黎明前に沐浴する巡礼者と、河岸に溜まるゴミ——この対比がガンジス川の現実だ。信仰の聖河と近代化の廃棄物が衝突する場所として、ガンジス川は現代インドの矛盾を最も鮮明に映し出す場所のひとつだ。
汚染の実態
ガンジス川の主な汚染源は3つだ。工業廃水(皮なめし工場・染色工場・製紙工場等)、未処理下水(流域の沿岸都市から直接排水)、そして固形廃棄物と宗教的捧げ物(花・蝋燭・遺灰等)だ。
中流域のカーンプル付近は皮なめし産業からのクロム廃水による汚染が特に深刻とされてきた。大腸菌の濃度がWHOの飲料水基準を大幅に超えている地点が多い。
ナマミ・ガンゲー(Namami Gange)プログラム
2014年にモディ政権が発足させた大規模な河川清浄化国家プロジェクト。予算は2万クロール(約1兆円以上)以上が設定された。下水処理設備の建設、工場排水規制の強化、河岸のゴミ清掃、植樹が主な取り組み内容だ。
成果としては、いくつかの地点で溶存酸素量の改善が報告されており、イルカ(ガンジスカワイルカ)の目撃数が増えたという報告もある(プロジェクト関係者の発表より)。ただし、下流域の大都市近辺では依然として汚染が改善されていないという批判的な調査結果も出ている。
在住外国人が感じる環境問題
ガンジス川だけでなく、デリーのヤムナー川、ムンバイのマヒム・クリーク(入り江)なども深刻な汚染がある。環境NGOの活動は活発で、在住外国人が参加できるクリーンアップイベントも定期的に開催される。
インドの環境問題への取り組みは、政府の政策と市民の自発的活動が複線で進む段階にある。在住外国人がその動きに関わる選択肢は思っているより多い。