Kaigaijin
文化・生活

エスプレッソ文化——バールで立ち飲み1ユーロのコーヒーと在住者の朝

イタリアのコーヒー文化は「バール」と「立ち飲み」が基本。エスプレッソの種類と注文方法、イタリア在住者が毎朝通うバールの日常と料金体系を解説。

2026-04-08
エスプレッソコーヒーバールイタリア文化日常生活

この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。

朝7時半、イタリアのバールのカウンターは混雑している。スーツ姿のサラリーマン、制服を着たポリツィア(警察官)、ノートを抱えた学生——全員が小さなカップを手に、立ったまま数分でコーヒーを飲み干して出ていく。エスプレッソ1杯、1〜1.5EUR(160〜240円)。これがイタリアの朝の標準形だ。

エスプレッソの基本

イタリアで「コーヒー(un caffè)」と注文すると、エスプレッソが出てくる。30ml程度の濃縮されたコーヒーで、砂糖を入れてかき混ぜながら一気に飲む。

「lungo(ルンゴ)」と頼むと少し多めのお湯で薄めた版、「ristretto(リストレット)」はより少量で濃さを強調したもの、「macchiato(マッキアート)」はエスプレッソにミルクを少し加えたものだ。カプチーノと違って、これらは時間帯を選ばず注文できる。

立ち飲みと席料の差

バールでは「立ち飲み(al banco)」と「テーブル席(al tavolo)」で料金が異なる。エスプレッソ1杯が立ち飲みで1EUR(160円)なら、席に座ると2〜3EUR(320〜480円)になることが多い。

これはイタリアの制度として認められた価格差で、メニューに明記されていることもある。在住者の多くは朝の一杯は立ち飲みで済ませ、同僚と話しながらゆっくりするときだけ席に座るという使い分けをしている。

バールは社交場

イタリアのバールは「コーヒーを売る場所」を超えた機能がある。常連と店主が互いの名前を知っていて、「いつもの(il solito)」で注文が通る関係が成立している。

近所のバールに毎朝通ううちに常連になり、地域コミュニティの一員として認識されていく——これがイタリアの在住者が「街に溶け込む」最初のルートのひとつだ。

コーニェット(コルネット、クロワッサン状のパン)と一緒に注文するのが朝食セットとして定番で、1.5〜2.5EUR(240〜400円)程度。テイクアウトや持ち帰り文化はほぼなく、その場で食べて飲んで立ち去るのがバールのスタイルだ。

地域によるコーヒーの違い

イタリア南部(特にナポリ)のエスプレッソは、北部と比較して濃くて苦い傾向がある。豆の焙煎度合いや抽出時間が異なり、同じ「un caffè」でもナポリとミラノでは味が違うと在住者は口を揃える。

「ナポリのコーヒーが一番うまい」という声は多く、週末にナポリまで行く目的のひとつにコーヒーを挙げる在住者がいるほどだ。

スペシャルティコーヒーの動向

若い世代を中心に、サードウェーブ系のスペシャルティコーヒー文化もミラノを中心に広がってきた。ラテアートを提供する専門カフェや、シングルオリジンの豆を使うロースターが都市部に増えている。

ただし「バールの1EUR エスプレッソ」という文化は変わらない。新旧の文化が共存しながら、コーヒーを中心にした日常の流れが続いている。

コメント

読み込み中...