イタリアの公的医療(SSN)——登録方法と家庭医(Medico di base)の仕組み
イタリアの国民保健サービス(SSN)への登録方法と、かかりつけ医制度の使い方を解説。外国人在住者が公的医療を利用するための手順と、民間保険との使い分けも紹介。
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イタリアには国民保健サービス(SSN: Servizio Sanitario Nazionale)という公的医療制度がある。在留許可証(Permesso di Soggiorno)を持つ外国人在住者も登録でき、家庭医の診察や公立病院での治療を低コストで受けられる。
SSNへの登録方法
SSNへの登録は地域の保健所(ASL: Azienda Sanitaria Locale)で行う。持参するものはパスポート、在留許可証(または申請受取証)、コーディチェ・フィスカーレ、住所証明書類(賃貸契約書等)だ。
雇用されている場合は就労契約書も持参すると手続きがスムーズになる。登録は無料で、完了すると「Tessera Sanitaria(保険証)」が発行される。コーディチェ・フィスカーレと保険証が一体になったカードが使われることも多い。
Medico di Base(家庭医)の選択
SSN登録時またはその後に、Medico di Base(一般医・家庭医)を選択する。医師のリストからエリア内の医師を選ぶ形で、原則として最寄りの医師を選ぶが、希望があれば別の医師も選べる。
家庭医は体の不調全般の最初の相談窓口であり、処方箋の発行、専門医への紹介状、検査のオーダーなどを担う。緊急でない医療ニーズは基本的にここを通る。
受診の流れ
体の不調があれば家庭医にアポイントを入れる。電話または直接訪問で予約が取れる。診察は基本的に無料(SSN登録者の場合)だが、一部の検査や治療には「ticket(自己負担)」が発生する。
自己負担額は低く設定されており、例えば外来検査は10〜35EUR(1,600〜5,600円)程度が多い。収入が低い場合や特定の病状では自己負担が免除される制度もある。
専門医・入院
専門医(Specialista)の受診には家庭医からの紹介状が必要だ。公立病院での専門医予約は「CUP(Centro Unico di Prenotazione)」を通じて行い、待ち時間が数週間〜数ヶ月になることもある。
緊急の場合は「Pronto Soccorso(救急外来)」を利用できる。トリアージ方式で、緊急度の高い患者が優先される。
民間保険との組み合わせ
企業雇用の場合、会社から民間医療保険が提供されることがある。民間保険があると、専門医への予約待ちをスキップして私立クリニックを受診できる。公的SSNと民間保険の二重利用は問題なく、多くの在住駐在員はこの組み合わせを使っている。
フリーランスや自営業者はSSNのみになるケースが多いが、個人で民間保険を追加するオプションもある(月50〜150EUR程度から)。
言語の壁
公立病院や一般的な家庭医では英語が通じないことも多い。在住者の間では「英語対応の医師リスト」をSNSやコミュニティで共有していることがある。ミラノやローマの都市部では英語対応のクリニックも探しやすい。
健康に関わるため、いざという時のために医師・病院の情報を事前に把握しておくことが安心につながる。