地域別コーヒー文化——ナポリの濃いエスプレッソとミラノのラテ
イタリアは「コーヒーの本場」と言われるが、地域によってコーヒーの飲み方は異なる。ナポリ・ミラノ・ローマ・シチリアの地域別コーヒー文化と注文のコツを解説する。
イタリアで「コーヒー(Caffè)」を頼むと、デミタスカップに入ったエスプレッソが出てくる。これが全国共通の基本だ。ところが「どんなエスプレッソか」は地域によって驚くほど違う。
ナポリのエスプレッソ ナポリのエスプレッソはイタリアで最も濃く、最もクリーミーで、最もイタリア語で言う「corposo(コクがある)」とされる。抽出温度・豆のロースト・水の柔らかさ(ナポリの水道水は軟水)が絶妙に組み合わさると言われる。量は少なく(25〜30ml)、砂糖を入れてかき混ぜずに一気に飲むのがナポリ流だ。価格は€0.8〜€1.0(約128〜160円)程度。
ミラノのコーヒー 北部のミラノは、スタンディングのエスプレッソ文化は同じだが、カプチーノやカフェラテを朝食に合わせて飲む文化が南部より浸透している。インターナショナルな環境もあり、フラットホワイト・オーバーアイスコーヒーなど海外スタイルへの対応も比較的早い。価格はナポリより高め(€1.1〜€1.5程度)。
ローマのコーヒー ローマは北部と南部のミックスで、量が少なく濃いエスプレッソが一般的。「ロマーノ(Romano)」と呼ばれるレモンの皮をカップの縁に添えて出す変種も見られる。
シチリアのグラニータ 夏のシチリアの朝食は「グラニータ・コン・ブリオッシュ(コーヒーのシャーベット+パン)」が定番だ。これはコーヒー文化とデザート文化が融合したシチリア独自のスタイルで、他の地域ではあまり見られない。
地域のコーヒー文化を知っていると、バールでの注文がスムーズになるだけでなく、その街の気質を反映した食文化の一端に触れることができる。