イタリアの廃村「ボルゴ」が蘇る:1ユーロ空き家プロジェクトと移住の現実
イタリアには過疎で廃村・半廃村状態の「ボルゴ(borgo)」が多数ある。空き家を1EURで売るプロジェクトが国際的に話題になったが、その後の移住者たちはどうなったのか。
この記事の日本円換算は、1EUR≒163円で計算しています(2026年5月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
「イタリアで家を1EUR(約163円)で買える」——このニュースは2019年頃から国際的に拡散し、日本のメディアでも取り上げられた。シチリア島のムッソメーリなどのプロジェクトが特に有名だ。
これは本当の話だ。ただし「163円で終わる話」ではない。
なぜ1EURなのか
イタリアの山岳地帯・南部農村部には、過疎化で住む人がいなくなった家が多数ある。所有者はいるが、修繕費が出せず、放置状態になっている。
これを「1EURで買う権利と、一定期間内に修繕する義務」という契約で売り出す自治体が増えた。目的は人口流入と空き家活用だ。
修繕の「現実」
問題は修繕コストだ。石造りの数百年前の建物を現代の安全基準に合わせて改修するには、数万〜十数万EUR(約数百万〜数千万円)かかることが普通だという(推定)。地元の建設業者が少なく、材料の搬入も困難な場所では費用がさらに膨らむ。
さらに、イタリアの建築許可( permesso di costruire)と歴史的建物に関する規制(Soprintendenza、文化財局の承認)の複雑さが、工事の開始を数年単位で遅らせることがある。
実際に移住した人の声
国際的な1EURプロジェクト参加者の中には、予定より大幅に費用が増え、目標を変えた人もいる(推定)。一方で成功事例も報道されており、民宿・カフェ・アトリエとして再生した物件もある。
「石と時間をかけた家が、別の人の夢になる」——廃村の再生は、数字では語れない感情的な要素が大きい。
日本人移住者の事例
日本から1EURプロジェクトに申し込んだ人の話がブログ・SNSで散見される(推定)。語学の壁、法律の複雑さ、地元とのコミュニケーション——これらを乗り越えた先に「自分の家」があるというモチベーションを持つ人が一定数いる。
ただし「南イタリアの山村で生活基盤を作る」のは、観光旅行とは全く異なるハードルがある。医療・交通・インターネット環境の確認は最低限の事前調査だ。
1EURの家は入口に過ぎない。その向こうにある作業と生活の現実を知ってから踏み込む——それがイタリア移住の最低条件だ。