若者がイタリアを去る:頭脳流出(Brain Drain)の現実と残るものたち
イタリアでは毎年数万人の高学歴若者が海外に移住する。低い給与、閉塞的なキャリア構造、コネ社会——若者を追い出す構造と、それでもイタリアに残る選択をした人々の話。
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「もうイタリアにいる必要がない」——こう言ってロンドンに発ったイタリア人の若者の話は、一つの例外ではない。毎年数万人規模の高学歴者がイタリアを離れているとされ、これを「fuga dei cervelli(脳の逃亡)」と呼ぶ(推定、出典:ISTAT 各年移住統計)。
数字の実態
イタリア国家統計局(ISTAT)のデータによると、毎年15万人前後のイタリア国籍者が海外に移住しており、その中で若年・高学歴者の比率が高いとされる(出典:ISTAT)。
行き先はドイツ、イギリス、スイス、オーストラリア——より高い給与と明確なキャリアを求めての移動だ。
なぜ出ていくのか
主な理由として挙げられるのは以下だ(推定)。
- 給与の低さ: イタリアの大卒初任給は欧州の中でも低い部類(出典:Eurostat 各年データ)
- キャリアの閉塞感: 上のポストが空かない、コネなしでは評価されにくい構造
- 雇用の不安定さ: 若者向けの非正規雇用が多く、正社員の「壁」が高い
- 地理的な機会格差: 特に南部や小都市では選択肢が限られる
残る選択をした人たちの論理
一方で、イタリアに残る選択をした若者もいる。理由は様々だ。
「家族がいる」「言語の問題」「イタリアの生活の質が好き」「自分のニッチを見つけた」——外に出ることより、今いる場所を変えようとする選択だ。
スタートアップを立ち上げる若者、地方のアグリツーリズモを継ぐ後継者、デジタルノマドとして外国から仕事を受けながらイタリアに住む人——多様な「残り方」が現れている。
逆方向の流れ:外国人のイタリア移住
イタリアからの流出がある一方、外国からイタリアに来る移住者も多い。特に南アジア・アフリカ・東欧からの移民が農業・建設・介護分野の労働力を担っている(出典:ISTAT)。
こうして「イタリア人の高学歴者が出て、低賃金労働は外国人が担う」という交換が起きている。
在住日本人が見るイタリア
ビジネスや研究でイタリアに来た日本人は、上述の頭脳流出の「もう一方の側」に位置する。スキルを持った外国人として歓迎される立場が多い(推定)。
「イタリアから出たい若者」と「イタリアに来たい外国人」が交差する点に、今のイタリアの矛盾と可能性が凝縮している。