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コンドミニオの暖房戦争——イタリアのマンション管理費が揉める構造的理由

イタリアのマンション(コンドミニオ)では集中暖房の費用分担が住民間の最大の争点になります。個別メーター化の義務化後も続く暖房戦争の実態と、在住外国人が巻き込まれないためのポイントを解説します。

2026-05-28
コンドミニオ暖房管理費マンション光熱費

この記事の日本円換算は、1EUR≒160円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(EUR)の金額を基準にしてください。

イタリアのマンション(コンドミニオ=condominio)には、日本にはない争いの種がある。集中暖房(riscaldamento centralizzato)の費用分担だ。一棟全体を1つのボイラーで暖め、その費用を全住民で分担する方式が、特に北イタリアの古い建物に多い。

集中暖房の仕組み

ミラノやトリノの多くのコンドミニオでは、地下のボイラー室で温水を作り、各部屋のラジエーターに送る。運転期間は自治体ごとに条例で定められており、ミラノ(Zona climatica E)は10月15日〜4月15日の期間で1日14時間まで。ローマ(Zona climatica D)は11月1日〜4月15日で12時間まで。

問題は費用の分担方法だ。従来は面積按分(millesimi)で計算していた。100㎡の部屋は50㎡の部屋の2倍払う。しかし最上階の部屋は熱が逃げやすく、1階は地面からの冷気で暖まりにくい。「うちは窓を開けて暮らしているのに」と省エネ住民が不満を持ち、「うちはいつも寒いのに同じ額を払うのか」と端部住民も不満を持つ。

個別計量メーターの義務化

EU指令(2012/27/EU)に基づき、イタリアでは2017年から集中暖房のコンドミニオにtermoregolazione e contabilizzazione(温度調整と個別計量)の設置が義務化された。各ラジエーターにバルブとカウンターを取り付け、使った分だけ払う方式に移行する。

しかし実際には全面移行が進んでいない。設備の設置費用が1戸あたり€500〜€1,500(約80,000〜240,000円)かかり、この費用分担でまた揉める。「うちはエアコンに切り替えたいから集中暖房から離脱したい」という住民が出てくると、残った住民の分担が増える。

コンドミニオ総会の暖房議論

年に1回のコンドミニオ総会(assemblea)では、暖房が最も紛糾する議題だ。ボイラーの更新費用、暖房期間の延長・短縮、個別メーターの数字に基づく精算の異議申し立て。3時間の総会のうち2時間が暖房の議論で消えることもある。

イタリア語が流暢でない外国人には、総会の議論を追うのが難しい。管理人(amministratore)に事前に議題のサマリーをメールで送ってもらうよう頼むと、少なくとも何が決議されるかは把握できる。

在住外国人が注意すべきこと

物件を借りるとき、暖房が「集中式(centralizzato)」か「個別式(autonomo)」かを確認するのは基本だ。

  • 集中式: 光熱費の暖房部分は管理費(spese condominiali)に含まれることが多い。暖房シーズンの管理費は月€150〜€300(約24,000〜48,000円)上乗せされる
  • 個別式: 自分のボイラーで自由に暖房を使える。ガス代は自分の使用量だけ

個別式の方が自由度は高いが、ボイラーの保守点検(revisione della caldaia)を2年ごとに行う義務がある。費用は€80〜€150(約12,800〜24,000円)。

暖房の話は「生活の快適さ」と「お金」が直結するから揉める。イタリアのコンドミニオで暮らすなら、暖房方式は家賃と同じくらい重要なチェックポイントだ。

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