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墓地が美術館になる国——イタリアの葬送文化と在住外国人が知るべきこと

イタリアの墓地は彫刻や建築が施された芸術空間であり、死者との付き合い方が日本とは大きく異なります。万が一のときに在住外国人が直面する手続き・費用・文化的な違いを解説します。

2026-05-28
墓地葬送文化カトリック手続き

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ミラノの記念墓地(Cimitero Monumentale)は、入場無料の野外彫刻美術館だ。大理石の天使像、ブロンズの肖像、アールヌーヴォーの霊廟が並ぶ。ジェノヴァのスターリエーノ墓地はマーク・トウェインが「地上で最も美しい墓地」と呼んだ。イタリアの墓地は「死者の住む街」として設計されており、日本の墓地とは根本的にコンセプトが違う。

埋葬の方式

イタリアの埋葬方式は主に3つ。

  • 土葬(inumazione): 地中に棺を埋める。カトリックの伝統的な方式。ただしスペースの問題から減少傾向
  • 壁龕埋葬(tumulazione): 壁にコンクリートの棚を作り、棺を収める。イタリアで最も一般的な方式。墓地の壁一面に写真付きの小さな扉が並ぶ光景はこれ
  • 火葬(cremazione): 近年増加中。北イタリアでは火葬率が50%を超える地域もある。骨壺を壁龕に収めるか、散骨するか(2001年以降、条件付きで合法化)

墓地使用料と費用

イタリアの墓地は基本的にComune(自治体)が管理する公営だ。使用権は期限付きで、一般的に20〜50年。期限が切れると遺骨はossario comune(共同納骨堂)に移される。

項目費用目安
壁龕1区画(30年使用権)€1,000〜€5,000(約16万〜80万円)
葬儀一式(棺・教会・搬送)€3,000〜€8,000(約48万〜128万円)
火葬€500〜€1,000(約8万〜16万円)
墓石・銘板€500〜€3,000(約8万〜48万円)

ミラノやローマの人気の墓地は区画待ちが発生することもある。

Ognissanti(万聖節)——11月1日

11月1日のOgnissanti(万聖節)と翌11月2日のGiorno dei Morti(死者の日)は、家族で墓参りをするイタリアの年中行事だ。花屋にはcrisantemo(菊)が大量に並ぶ。イタリアでは菊=死者に捧げる花なので、生きている人へのプレゼントに菊を贈るのはタブーだ。

在住外国人が万が一のとき

在住外国人が亡くなった場合、以下の手続きが必要になる。

  1. 死亡届: 24時間以内にComune(市役所)に届け出る。病院で亡くなった場合は病院が手続きを開始する
  2. 大使館への届出: 在イタリア日本大使館または総領事館に死亡届を提出する
  3. 遺体の搬送: 日本への搬送を希望する場合、専門業者(agenzia di onoranze funebri)に依頼する。搬送費用は€5,000〜€15,000(約80万〜240万円)。防腐処理(imbalsamazione)と亜鉛棺(cassa di zinco)が国際搬送の条件
  4. 現地埋葬・火葬: 現地で埋葬または火葬する場合は、大使館と現地の葬儀社に相談する

菊を贈ってはいけない

繰り返しになるが、イタリアで生きている人に菊(crisantemo)を贈ってはいけない。特に11月前後は花屋に菊が溢れるので、うっかり手に取りがちだが、贈り物には向かない。誕生日や記念日にはバラ、ユリ、ひまわりなどを選ぶ。

墓地が美しいということは、死者との関係を大切にしているということだ。イタリア人が墓参りに花を持って行く姿は、日本人が仏壇に手を合わせる姿と重なる部分がある。形式は違っても、根底にある感情は似ている。

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