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ローマ水道から蛇口まで——イタリアの水が飲める理由と飲めない地域

ローマ市内には2,500基以上のナゾーネ(公共水飲み場)があり、アルプスやアペニン山脈の湧水が直接流れています。イタリアの水道水は多くの地域で飲用可能ですが、水質が地域で大きく異なります。在住者が知っておくべき水事情を整理します。

2026-05-25
水道ナゾーネローマ飲料水生活インフラ

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ローマの街角にある鉄製の水飲み場「Nasone(ナゾーネ、大きな鼻の意)」から出る水は、飲める。24時間、無料で、アペニン山脈の湧水が流れ続けている。市内に約2,500基。ペットボトルを買わなくても水に困らない都市は、世界でもそう多くない。

イタリアの水道水は飲めるのか

結論から言えば、イタリアの水道水はEUの飲料水基準(Directive 2020/2184)を満たしており、大半の地域で飲用可能だ。ただしイタリア人自身がミネラルウォーターを好むため、「水道水は飲めない」と思い込んでいる在住外国人は多い。

イタリアは一人あたりミネラルウォーター消費量でヨーロッパ1位(年間約200リットル/人)。これは水質の問題ではなく、食文化としての選好だ。「フリッザンテ(炭酸水)」と「ナトゥラーレ(非炭酸水)」を選ぶ習慣がイタリアの食卓に根づいている。

地域による水質の違い

北イタリア(ミラノ・トリノ・ヴェネツィア): アルプスの雪解け水が水源。カルシウム・マグネシウムの含有量(硬度)が高い硬水が多い。味に影響はあるが健康上の問題はない。ただし硬水はケトルや洗濯機にスケール(水垢)を残す。

中部(ローマ・フィレンツェ): 火山性の地層を通った水で、ミネラル分が豊富。ローマの水は「美味しい」と評価されることが多い。

南イタリア・島嶼部: 一部の地域では配管の老朽化や塩素消毒の強さから、味が落ちることがある。サルデーニャやシチリアの一部地域では、夏季に水不足が発生し、給水制限がかかることもある。

ナゾーネの使い方

ローマのナゾーネは円筒形の鉄柱で、上部の穴から水が常に流れ出ている。上部の穴を指で塞ぐと、小さな穴から水が噴水のように上に吹き出し、口を近づけて飲める設計になっている。ペットボトルに汲むのも自由だ。

水源は古代ローマの水道インフラを近代に改修したもので、Acqua Vergine(ヴェルジネ水道、紀元前19年建設)を水源とするナゾーネも現役で稼働している。

在住外国人の水事情

引っ越し直後は水道水の味を確認し、気になるならBritaなどの浄水ポットを使うのが現実的だ。硬水が合わない場合は、スーパーで6本パックのミネラルウォーターを買うと1本あたり€0.20〜€0.40(約32〜64円)。

ローマに住むなら、ナゾーネの場所を覚えておくとペットボトル代が節約できる。在住者の中には「マイボトルにナゾーネの水を汲む」のが日課になっている人もいる。

洗濯や掃除に関しては、硬水地域ではカルキ除去剤(anticalcare)を定期的に使うと、洗濯機・食洗機・シャワーヘッドの寿命が延びる。イタリアのスーパーにはCalfort、Viakalなどの専用製品が豊富に並んでいる。

紀元前に設計された水道が現代の蛇口にまでつながっている——そういう時間のスケールで都市を見ると、イタリアの水の味が少し違って感じられるかもしれない。

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