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韓国の高齢者がマンションの警備員になる理由——「二度働く」社会の現実

韓国では退職した中高年が警備員や駐車管理として再び働く姿が目立つ。長い老後と薄い年金のあいだで「二度働く」ことが当たり前になった社会構造を読み解く。

2026-08-19
高齢者雇用退職年金再就職社会構造

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韓国のマンション団地の入り口には、たいてい警備員の詰所がある。そこに座っているのは、多くが60代、70代の男性だ。かつては会社員や公務員、自営業者だった人が、退職後に再び制服を着て働いている。

「一度引退した人がもう一度働く」——この光景は、韓国の老後をめぐる構造をそのまま映している。

「二度働く」のが普通

韓国では、主たる職業から退いた後に、別の仕事で再び働く人が多い。マンションの警備、駐車場の管理、清掃、配達、簡単なサービス業——体力と相談しながら続けられる仕事に就く。

これは特別なケースではなく、広く見られる現象だ。第一の職業人生を終えた後に、第二の、より軽い仕事人生が続く。「セカンドキャリア」という前向きな言葉だけでは捉えきれない、生活の必要に迫られた働き方も含まれている。

なぜ働き続けるのか

理由は、老後の長さと、それを支える備えのギャップにある。

平均寿命が延びる一方で、主たる職場を退く年齢は必ずしも遅くない。退職後に20年、30年という長い時間が残る。その間の生活費を、公的年金だけで賄うのは難しいケースが多い。年金制度が成熟しきっていない世代では、給付水準が生活を十分に支えるとは限らない。

子の教育や住宅に資産を投じ、自分の老後資金が手薄になった人も少なくない。結果として、「働けるうちは働く」が現実的な選択になる。警備員の仕事は、年齢を重ねても就きやすく、一定の需要があるため、その受け皿になっている。

高齢化が加速させる

この構造は、急速な高齢化でさらに切実になっている。

高齢者の数が増える一方で、彼らを支える現役世代は減っていく。社会保障だけで老後を支える余地は広がりにくい。だからこそ、高齢になっても働ける場をどう用意するかが、社会の課題になっている。政府も高齢者向けの雇用支援に力を入れているが、需要に追いついているとは言いがたい。

警備員として座る高齢者の姿は、個人の事情であると同時に、社会全体が抱える宿題の縮図でもある。

在住者が知っておくと役立つこと

韓国で暮らす日本人にとって、この現実は老後設計を考えるうえで参考になる。韓国の公的年金だけに頼る前提は危うく、自助の備えが重要になる、という構造は日本とも共通する。

韓国で長く働く場合は、年金への加入状況や、将来の受給見込みを早めに確認しておきたい。日韓の年金制度には協定があり、加入期間の通算などが関わってくる場合がある。制度は変わり得るので、自分のケースは専門の窓口で確認するのが確実だ。老後の長さを前提に、複数の備えを持っておく発想が役立つ。


韓国の高齢者が警備員として再び働くのは、長い老後と薄い備えのあいだを埋めるためだ。「二度働く」が普通になった社会は、高齢化と年金の課題を先取りして見せている。詰所に座る人々の姿は、これから多くの社会が向き合う未来の一断面でもある。

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