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半地下に住む人たち——韓国・半地下住宅の現実

映画『パラサイト』で世界に知られた韓国の半地下住宅。地上と地下の間に広がる独特の居住空間が生まれた背景と、今もそこに住む人たちのリアルな生活を探る。

2026-06-01
半地下住宅ソウル

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映画『パラサイト』が2020年のアカデミー賞を席巻したとき、「半地下」という言葉が日本でも広まった。だが多くの人が「フィクションの舞台装置」として消費し、今どれだけの人がそこに住んでいるかまでは知らない。

ソウル市の調査(推定)によると、市内には数万戸規模の半地下住宅が存在するとされる。正確な戸数は調査主体によって異なるが、低所得層の住まいとして依然として機能していることは確かだ。

半地下が生まれた理由

半地下住宅(반지하、バンジハ)が急増したのは1970年代のことだ。朝鮮戦争後、北朝鮮との緊張が続くなか、韓国政府は民間建築物に防空壕を設けるよう義務づけた。だが地下室は居住空間としての需要がなく、多くが空き部屋になっていた。

そこで1984年、地下室の一部を賃貸住宅として使うことが許可された。急速な都市化でソウルの家賃が高騰するなか、安価な住居として半地下は瞬く間に埋まっていった。地上から少しだけ顔を出した窓。外を歩く人の足しか見えない視界。それが半地下の日常だ。

暮らしの実態

半地下の家賃は同じ広さの地上フロアと比べると30〜50%程度安いとされる(推定)。ソウル郊外の築古物件なら保証金500万〜1,000万ウォン(52,500〜105,000円)、月額25万〜40万ウォン(26,250〜42,000円)程度の物件も残っている。

問題は湿気だ。半地下は構造上、地面に接しているため、梅雨の時期(チャンマ)に湿気と結露が激しくなる。2022年の大雨では、ソウル・冠岳区の半地下住宅が浸水し、住民が亡くなるという痛ましい事故が起きた。この事故を機に、ソウル市は半地下住宅の段階的廃止に向けた政策を打ち出しているが、代替住宅の供給が追いつかない現実もある。

見えない住人たち

半地下に住む人の多くは、ソウルで働く地方出身の単身者や、老齢の一人暮らし、あるいは飲食業や清掃業に就く低収入層だ。映画の主人公一家のように「そこから抜け出す夢を持ちながら暮らす人」というイメージは的外れではないが、実態はもっと静かで地道だ。

家賃を抑えながら都市で生きるための選択として、半地下を選んでいる人たちがいる。派手なドラマではなく、ただの住宅問題として向き合うことが、この社会の一面を理解する第一歩になる。

コシウォン(고시원)やビルラ(빌라)と並んで、半地下は韓国の「見えにくい住宅」の一つだ。ソウルを旅するとき、路地を歩いていると足元より少し低い位置に窓がある建物に気づくことがある。そこに人が住んでいるという事実を、知っておいて損はない。

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