韓国の銀行口座開設ガイド——外国人登録証があれば開ける。なければ制限付き
韓国で日本人が銀行口座を開設する方法を解説。外国人登録証(ARC)の有無による違い、新韓銀行・KB国民銀行・ウリ銀行・ハナ銀行の比較、カカオバンク・Tossなどのフィンテック、海外送金の選択肢まで。
この記事の日本円換算は、100KRW≒10.5円で計算しています(2026年3月時点)。為替は変動するので、現地通貨(KRW)の金額を基準にしてください。
韓国で生活するなら、銀行口座は早めに作っておきたい。
家賃の振り込み、給与の受け取り、公共料金の支払い。韓国はキャッシュレス比率が世界トップクラスの国で、カード決済やモバイル決済が日常のあらゆる場面に浸透している。現金だけで生活するのは正直かなり不便。
外国人が口座を開設する際のポイントは一つ。外国人登録証(ARC)を持っているかどうか。これで口座の種類も、使える機能も大きく変わる。
口座開設の条件と必要書類
外国人登録証(ARC)保持者の場合
韓国に91日以上滞在する外国人は、入国から90日以内に出入国管理事務所で外国人登録を行う義務がある。この手続きで発行される外国人登録証(Alien Registration Card)が、韓国での銀行口座開設に必要な身分証になる。
必要書類:
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 外国人登録証(ARC) | 必須。2025年3月からモバイルARC(スマホ版)も主要銀行で利用可能 |
| パスポート | ARC取得前の身分確認用としても使う |
| 韓国の携帯電話番号 | SMS認証・モバイルバンキング登録に必要 |
| 在職証明書・在学証明書 | 銀行によっては求められる |
| 居住証明(賃貸契約書・公共料金の領収書等) | 銀行によっては求められる |
ARC保持者は、通常の普通預金口座を開設できる。チェックカード(デビットカード)も発行されるので、日常の買い物はこれ1枚でほぼ完結する。
開設手続き自体は銀行の窓口で30分〜1時間程度。混雑する支店だともう少しかかる場合もある。
2025年3月〜 モバイルARC対応が拡大
2025年3月から、物理カードに加えてスマホで利用できる「モバイル外国人登録証」が導入された。新韓銀行、ハナ銀行、iM銀行、釜山銀行、全北銀行、済州銀行などがモバイルARCでの口座開設に対応している。物理カードを持ち歩かなくても手続きできるのは便利。
短期滞在者(ARC未取得)の場合
観光ビザや短期滞在で、まだARCを取得していない場合はどうか。
一部の銀行では、パスポートとビザの情報だけで制限付きの口座を開設できる場合がある。ただし、送金限度額や利用できるサービスに制約がかかる。ARCを取得した後に、通常口座へのアップグレードが可能。
正直なところ、ARC未取得の状態での口座開設はハードルが高い。銀行の支店や担当者によっても対応が異なるので、事前に電話で確認してから訪問するのが確実。
韓国の主要銀行——日本人にとっての使いやすさ
韓国の主要銀行4行を、外国人対応の観点で比較する。
新韓銀行(Shinhan Bank)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | 外国人向けサービスに最も力を入れている銀行の一つ |
| 日本語対応 | コールセンター(1577-8300)で日本語対応あり。英語・中国語・ベトナム語等、11言語に対応 |
| 外国人向けサービス | 「EasyOne外国人サービス」で多言語対応。グローバルオンラインサービスに登録すると、日本の新韓銀行支店でも出入金が可能 |
| ATM | 国際カード専用ATMを設置。外国人の利用に特化した端末がある |
| モバイルARC | 対応済み |
日本人にとっての最大の利点は、日本語コールセンターがあること。韓国語に不安がある段階でも、電話で日本語で相談できるのは心強い。また、日本にも支店があるため、帰国後もある程度の取引が継続できる点は他行にない強み。
KB国民銀行(KB Kookmin Bank)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | 韓国最大級のメガバンク。総資産額トップクラス |
| 外国人対応 | 外国人特化支店を複数設置。大都市では外国人対応に慣れたスタッフが多い |
| 実績 | 2023年顧客満足度1位を獲得 |
| 海外送金 | 外国人向け海外送金サービスあり |
| 支店数 | 韓国全土に約900支店。どこに住んでも支店が見つかる |
支店網の広さが最大の強み。ソウル以外の地方都市でも支店が見つかりやすい。外国人特化の支店では英語対応が充実している。
ウリ銀行(Woori Bank)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | 1899年設立、韓国最古の銀行。外国人向けサービスが手厚い |
| 外国人向け口座 | 「ウリィフォーチュン給与通帳」は給与振替設定でATM手数料が月10回まで無料、振込手数料も免除 |
| 外国人特化支店 | 韓国内に複数設置 |
| ATM | 全国3,700台以上。外国カード対応 |
| 日本支店 | 東京等の大都市に支店あり |
給与受け取り口座として使うなら、ウリ銀行の「フォーチュン給与通帳」はATM・振込手数料が免除されるので、駐在員や現地採用の人に向いている。
ハナ銀行(Hana Bank)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 特徴 | 旧・韓国外換銀行と統合。世界24ヵ国に展開 |
| 外国人向け口座 | 「Easy-One Pack Account」(普通預金)、「Easy-One Pack Savings Account」(定期預金)等 |
| 日本支店 | 東京・大阪・福岡に支店あり |
| 外貨サービス | 旧・外換銀行のノウハウで外貨取引に強い |
| グローバル対応 | 韓国での口座開設後、日本の支店で出入金が可能 |
旧・韓国外換銀行の流れを汲むため、外貨取引や海外送金のノウハウが豊富。日本に帰国後も東京・大阪・福岡の支店で取引を継続できるのは大きなメリット。
どの銀行を選ぶか
正解は「どれでもいい」に近い。韓国の主要銀行はどこも外国人対応が整っている。
ただ、あえて選ぶなら:
- 韓国語に不安がある → 新韓銀行(日本語コールセンターあり)
- 給与受け取りがメイン → ウリ銀行(フォーチュン給与通帳の手数料免除)
- 地方都市に住む → KB国民銀行(支店網が最も広い)
- 帰国後も口座を使いたい → ハナ銀行 or 新韓銀行(日本に支店あり)
口座の種類
韓国の銀行で外国人が開設できる口座は、大きく分けて3種類。
普通預金口座(보통예금)
日常使いの口座。給与受け取り、公共料金の引き落とし、カード決済の引き落とし元として使う。チェックカード(デビットカード)が発行される。
韓国での生活口座として、まずはこれを開設する。
定期預金口座(정기예금)
まとまった資金を一定期間預ける口座。普通預金より金利が高い。韓国の銀行の定期預金金利は日本と比べるとかなり高く、3%台の商品もある(時期・銀行による)。
余裕資金がある場合は検討する価値がある。
外貨預金口座(외화예금)
日本円やUSDなどの外貨をそのまま預けられる口座。為替リスクをヘッジしたい場合や、海外送金の中継に使う場合に便利。
手数料
韓国の銀行は、口座開設費や口座維持手数料は基本的にかからない。日本の銀行と同じ感覚で使える。
手数料がかかるのは主に以下の場面。
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 他行ATM利用 | 500〜1,000KRW(約53〜105円)程度 |
| 時間外ATM利用(平日18時以降・土曜14時以降) | 500〜600KRW(約53〜63円)の追加 |
| 他行への振込 | 500〜1,000KRW(約53〜105円)程度 |
| 海外送金(銀行経由) | 1万〜2万KRW(約1,050〜2,100円)+ 中継銀行手数料 |
自行ATM・自行振込はほとんどの場合無料。他行利用時に少額の手数料がかかる程度なので、日本の銀行手数料と比べても安い。
給与受け取り口座に設定すると、ATM手数料や振込手数料が免除される銀行が多い。口座開設時に確認するのがおすすめ。
海外送金——韓国と日本の間でお金を動かす
韓国に住む日本人にとって、日本との間の送金は避けて通れない。家賃の仕送り、日本の口座への貯蓄、家族への送金。選択肢はいくつかある。
銀行経由の海外送金
韓国の銀行窓口から日本の銀行口座へ直接送金する方法。
- 手数料: 送金手数料1万〜2万KRW(約1,050〜2,100円)+ 中継銀行手数料 + 受取銀行手数料
- 為替レート: 銀行の対顧客レート(ミッドマーケットレートに比べて不利)
- 所要時間: 2〜5営業日
- 年間送金上限: 年間5万USD相当まで(指定外国為替取引銀行経由。送金資金の取得経緯を証明する書類があれば、その範囲内で送金可能)
銀行送金は手続きが確実な反面、手数料と為替レートの両方でコストがかかる。特に為替レートの上乗せ分は見えにくいので注意が必要。
Wiseなどの海外送金サービス
銀行送金と比べて手数料が安く、為替レートも有利なケースが多い。
Wiseはミッドマーケットレート(実際の市場レート)を適用するため、銀行の対顧客レートとの差額分がそのまま節約になる。10万円を送金する場合のトータルコストで比較すると、Wiseが最も受取額が多くなるケースが多い。銀行と比べると1回あたり数千円〜数万円の差になることが多く、月1回送金を続けると5年で49万円の差になる計算。
→ 自分の送金額で手数料を試算する(登録不要・無料)
韓国ウォン(KRW)の送金では、受取人がPaygateによる本人確認を行う必要がある場合がある。95万KRWを超える送金では受取人の韓国の電話番号が必要になる点も覚えておきたい。
その他、World Family送金(送金手数料10万円まで500円)やExparo(韓国送金特化)などのサービスもある。
送金サービスの選び方
- 少額・定期的な送金: Wise等のフィンテック(手数料が安い)
- 大口の送金(数百万円以上): 銀行送金(送金限度額の制約が少ない)
- 急ぎの送金: Wise(最短で当日〜翌営業日着金)
モバイルバンキングとフィンテック
韓国はフィンテック大国。従来の銀行アプリだけでなく、ネット専業銀行やモバイル決済サービスが急速に普及している。
Toss Bank(トスバンク)
Tossは韓国で最も人気のあるフィンテックアプリの一つで、Toss Bankは2021年にサービスを開始したネット専業銀行。
外国人も口座開設可能。 外国人登録証と韓国の携帯電話番号があれば、アプリ上でビデオ通話による本人確認を行い、その日のうちに口座が使える。店舗に行く必要がない。
- 普通預金金利が一般の銀行より高め
- UIが直感的で使いやすい(英語対応あり)
- 2025年には、SENTBEと連携して外国人向け海外送金サービスもリリースされた。Tossアプリのホーム画面から「海外」メニューを選ぶだけでSENTBEの送金サービスが利用できる
銀行の窓口に行かずに口座開設したい人、特に韓国語でのやりとりに不安がある人にとっては有力な選択肢。
カカオバンク(Kakao Bank)
韓国最大のメッセンジャーアプリ「カカオトーク」と連携したネット専業銀行。韓国では3,000万人以上が利用している。
ただし、外国人はカカオバンクの口座開設ができない(2026年3月時点)。住民登録証が必要なため、外国人登録証では申し込めない。
カカオペイ(QRコード決済)については、韓国の銀行口座と紐づければ外国人でも利用可能な場合がある。ただしこちらも制限がある場合があるので、事前に確認を。
従来の銀行のモバイルバンキング
新韓銀行、KB国民銀行、ウリ銀行、ハナ銀行などの主要銀行は、いずれも自社のモバイルバンキングアプリを提供している。口座開設後に窓口でモバイルバンキングの登録をすると、スマホから振込・残高確認・カード管理などが行える。
英語対応のアプリもあるが、日本語対応は限定的。韓国語か英語での操作が基本になる。
注意点——外国人特有の制約
韓国で銀行口座を使う上で、外国人が知っておくべきポイント。
実名確認制度
韓国の金融システムは「金融実名制度」を採用している。口座の開設・取引は全て実名で行い、匿名口座は認められない。外国人の場合、外国人登録証の番号が実名確認の基準になる。
この制度により、口座の不正利用に対する監視は厳しい。特に大口の入出金や海外送金は、銀行側から取引目的の確認を求められることがある。
海外送金の年間上限
外国人の海外送金には年間上限がある。指定外国為替取引銀行を通じて、年間5万USD相当(送金+両替の合計)まで。5万USDを超える送金は、送金資金の取得経緯を証明する書類(給与明細、所得証明等)の提出が必要。
ビザ期限と口座の関係
外国人登録証の有効期限が切れると、口座が凍結される可能性がある。ビザの更新・延長を行った場合は、速やかに銀行に更新後のARCを提示して、登録情報を更新する。
帰国が決まった場合は、残高の引き出しや口座の解約手続きを出国前に済ませておく。帰国後に韓国の口座を操作するのは手間がかかる。
携帯電話番号の維持
モバイルバンキングやSMS認証は韓国の携帯電話番号に紐づいている。電話番号を解約すると、モバイルバンキングが使えなくなる。帰国前に必要な手続き(送金・解約等)を全て済ませてから電話番号を解約する順序が大切。
まとめ——口座開設のステップ
韓国での銀行口座開設は、外国人登録証さえ取得すればそれほど難しくない。手順を整理すると:
- 外国人登録証(ARC)を取得する(入国後90日以内に申請)
- 韓国の携帯電話番号を取得する(SMS認証に必要)
- 銀行を選んで窓口を訪問する(パスポート + ARC + 携帯電話を持参)
- 口座開設 + チェックカード発行(30分〜1時間程度)
- モバイルバンキングを登録する(窓口で同時に設定可能)
窓口での手続きが不安なら、Toss Bankでアプリ上から非対面で口座を開設する方法もある。
韓国語でのコミュニケーションに不安がある場合は、新韓銀行の日本語コールセンター(1577-8300)に事前に相談するか、外国人特化支店を訪問するのが確実。日本への送金が多い人は、Wise等のフィンテック送金サービスの併用も検討する価値がある。
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