韓国の配達アプリ戦争——バエミン・クパン・ウォンジョリで働くライダーの現実
韓国の配達市場はバエミン(Baemin)・クパンイーツ・ウォンジョリが3強。デリバリーが日常になった社会の構造と、ライダーとして稼ぐ現実・日本との違いを解説。
この記事の日本円換算は、1KRW≒0.11円で計算しています(2026年4月時点)。
ソウルの夜を走る黄色いヘルメットとジャケット——それがバエミン(배달의민족、Baemin)のライダーだ。深夜でも雨でも、ソウルのあちこちを走っている。
韓国のフードデリバリー市場は2023年時点で約26兆ウォン規模(約2.9兆円)とされている(出典:韓国統計庁関連報告)。日本のフードデリバリー市場(数千億円規模)と比較すると、人口比で見た場合の市場規模が際立つ。
3強の現状
Baemin(배달의민족): 最大手。2019年にドイツのDelivery Hero傘下に入った。UIのポップさと知名度で定着。
Coupang Eats(쿠팡이츠): EC大手クパンが運営。「1人前OK」「最速デリバリー」を武器に急速拡大した。
Yogiyo(요기요): もともと2位だったが、Baemin・クパンに押されてシェアが低下傾向。
3社はライダーと店舗の両方を取り合っており、手数料・配達速度の競争が続いている。
ライダーの収入実態
韓国のデリバリーライダーは「配達1件いくら」のギグワーカーが多い。エリアや時間帯によるが、1件3,000〜6,000KRW(330〜660円)が多いとされる(出典:韓国労働研究院報告書等)。
月収の目安(フルタイム稼働):
- 経験者・好条件エリア: 月300〜500万KRW(33万〜55万円)
- 初心者・オフピーク中心: 月150〜250万KRW(16.5万〜27.5万円)
バイク・電動バイクの維持費・ガソリン代・保険料は自己負担のため、手取りは減る。
「雨の日プレミアム」と稼ぎ時
配達需要は雨・台風・酷暑・真冬に急増する。この時期は1件あたりの配達料が上がることがある(サージ料金的な仕組み)。
ソウルの夏の猛暑日や冬の氷点下の日に、大量の黄色いジャケットがマンションのエレベーターを列で待つ光景は、韓国の配達文化の象徴的なシーンになっている。
外国人ライダーの増加
近年、ビザを持つ外国人労働者がデリバリーライダーとして働くケースが増えている。一方、ライダーの事故・保険未加入・過労等の問題も社会課題として取り上げられており、規制強化の議論が続いている。
在住日本人とデリバリー
韓国在住の日本人がBaeminを使う場合、アプリが韓国語のみのため最初は使いにくい。ただしUIは直感的で、住所・クレジットカードを登録すれば使える。
「雨の日・疲れた日にすぐ日本食が来る」——ソウルには日本食専門デリバリー店も充実しており、KL・バンコクと比べてもデリバリーで日本食を補給しやすい環境がある。
在宅勤務が増えた2020年以降、「週3以上デリバリー」という在住日本人は珍しくない。利便性の反面、外食する動機が減って「社会との接点が薄れる」という指摘もある。いずれにしても、デリバリーはすでにソウル生活の基盤インフラだ。