ソジュ・ホフ・2次会——韓国の飲み会文化と「断れない」空気の正体
韓国の職場・社会における飲み会文化(회식、フェシク)の構造を解説。ソジュの役割、ホフ文化、2次会・3次会の慣習、外国人が断るときの作法、変わりつつある若い世代との意識差まで。
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韓国で会社に入ると、遅かれ早かれ「회식(フェシク)」の洗礼を受ける。
直訳すると「会食」。仕事後にチームで食事+飲酒するイベントだが、これを「食事会」と訳してしまうと、実態の半分しか伝わらない。
ソジュは「酒」ではなく「関係構築の道具」
韓国の飲み会の主役はソジュ(소주、焼酎)だ。アルコール度数は商品によって16〜25度程度。1本350mlで価格はKRW 1,500〜3,000(約157〜315円)と安い。
ソジュを飲む作法には社会的な意味がある。目上の人からお酌を受けるときは両手でグラスを持つ。自分が注ぐときは相手のグラスが空になる前に注ぐ。一人で飲まず、乾杯してから飲む。一見細かいが、これらの作法は「相手への敬意と関係構築」の表現として機能している。
ホフ(호프)とは何か
「ホフ(Hof)」はビールと簡単なつまみを提供する飲み屋の形態で、ドイツ語の「Hofbräuhaus(ホフブロイハウス)」に由来するとも言われる。
居酒屋的な雰囲気でビール+チキン(치맥、チメク)の組み合わせが定番。フェシクの1次会はサムギョプサル等の食事中心、2次会はホフやノレバン(カラオケ)、3次会以降に入る店が変わる——という流れが典型的だ。
「断れない」空気と変化
外国人の立場で韓国の職場に入ると、フェシクへの参加圧力を感じる場面がある。「欠席は人間関係への無関心」と受け取られるカルチャーが、特に従来型の大企業・中堅企業に残っている。
ただし、この文化は確実に変わってきている。2010年代以降のMZ世代(1980年代後半〜2000年代前半生まれ)は「워라밸(ワラベル、ワーク・ライフ・バランス)」を重視し、フェシクへの義務的参加に疑問を持つ傾向が強い。テック系スタートアップや外資系企業では、フェシクの頻度が下がっている。
外国人としての断り方
飲めない・参加できない理由を伝えるときは「건강 상 이유로(健康上の理由で)」という表現が使いやすい。文化的に、健康・宗教上の理由は比較的受け入れられやすい。
日本人として「日本でもフェシクに似た慣習がある」と話すと、共感を得やすい場面もある。完全に拒絶するより、「今日は無理だが次回は参加する」という姿勢を見せると関係構築がスムーズになるケースが多い。
飲み会の費用感
フェシクの費用は会社や上司が持つケースも多いが、割り勘や若手が払う形になることもある。
1次会+2次会で1人KRW 30,000〜80,000(約3,150〜8,400円)程度を想定しておくと現実的だ。
文化を知った上で付き合うのと、何も知らずに参加するのとでは、疲弊度が全く違う。