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食文化・テクノロジー

배달(バエダル)文化の進化——韓国がデリバリーを「日常インフラ」にした方法

韓国の出前文化の歴史とデリバリーアプリ戦争。배달의민족・Coupang Eatsが変えた食文化と、在住者の生活への影響を解説。

2026-04-12
デリバリー배달의민족フードテック韓国生活

この記事の日本円換算は、100KRW≒10.5円で計算しています(2026年4月時点)。

「出前」という概念は韓国では何十年も前から当たり前だった。チャジャンミョン(짜장면)を出前バイクで届ける文化は1970〜80年代から存在し、食器を玄関先に置いておけば後で回収に来るという仕組みが定着していた。デリバリーアプリはその文化をデジタル化しただけで、インフラとしての出前は韓国に元々根付いていた。

アプリが変えた規模

배달의민족(バエダルのミンジョク、通称「배민」)は2010年創業。2019年にドイツのDelivery Hero社が約4兆ウォン(約4,200億円)で買収した際に、世界でも注目されたディールになった。

현재의 韓国のフードデリバリー市場規模は、2023年に約25〜28兆KRW(約2.6〜2.9兆円)と推計されている(業界レポート複数)。3大プラットフォーム(배민・Coupang Eats・요기요)が市場を分け合う構造だ。

배민の手数料問題

2020年〜2021年に배민が手数料率を変更しようとした際、飲食店オーナーが一斉に反発した事例は韓国社会で大きく報道された。プラットフォームが市場を独占した後に手数料を上げるという構図に、小規模飲食店主が強く反応した。

現在の手数料は料理カテゴリ・プランによって異なるが、一般的には注文金額の6〜9%程度が基本とされる。日本のUberEatsと近い水準だ。

生活への影響

在住日本人の多くが배민かCoupang Eatsを日常的に使っている。アプリは韓国語のみだが、메뉴(メニュー)・주문(注文)・배달(デリバリー)など基本用語を覚えれば十分使える。

特に便利な点は「半夜(深夜)デリバリー」が充実していること。深夜0〜3時でも注文できる店が多く、コンビニの補完として機能している。雨の日の注文急増で配達が遅れるのは日本と同様だ。

원룸(ワンルーム)ひとり暮らしとの相性

ソウルのワンルーム(原룸)居住者——特に若い一人暮らし層——は自炊設備が限られていることが多く、배민が「第二の台所」として機能している。韓国の전자레인지(電子レンジ)とデリバリーがあれば料理しなくても生きていける環境が整っている。

最低注文金額の設定(通常12,000〜15,000KRW、約1,260〜1,575円)があるため、一人分だと最低金額を超えるために不要なメニューを追加するケースがある。2人以上のシェアハウスや相乗り注文文化(같이 시키자、いっしょに頼もう)が自然に生まれている。

배달은 한국 사람의 밥상을 바꿨다(デリバリーは韓国人の食卓を変えた)という言い方が現地でよく聞かれる。その変化の規模と速度は、外から見ているよりずっと大きい。

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