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ガロスキル・梨泰院のジェントリフィケーション:流行と退場の繰り返し

ソウルのおしゃれエリアとして知られるガロスキルや梨泰院は、家賃高騰によって独立系ショップが追い出される「ジェントリフィケーション」の問題を抱えている。その構造を解説する。

2026-07-20
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「あそこ、おしゃれなカフェがあったのに、また別の店になってる」

ソウルに数年住んでいると、このセリフを何度か口にすることになる。とくにガロスキル(新沙洞)や梨泰院エリアで。流行の街が、流行で自分自身を食い尽くす現象がある。

ジェントリフィケーションの仕組み

独立系の個性的なカフェや古着屋が集まる→街がおしゃれとして知られるようになる→地価・賃料が上昇する→最初の個性的な店が家賃を払えなくなって退場する→チェーン店や高級ブランドが入る→街の個性が薄れる→別の「未開発エリア」に流行が移る。

ソウルではこのサイクルが10〜15年スパンで繰り返されてきた(推定)。

過去の流行エリアの変遷

梨泰院(イテウォン)
1980〜90年代は米軍基地の影響で外国文化・食の集積地。2010年代は多国籍レストラン・外国人バーとして独自の発展を遂げた。2022年のハロウィン事故以降、観光客が激減し、街の雰囲気が大きく変わった。今は静かながらも少しずつ個性的な店が再び増えている。

ガロスキル
プラタナスの並木道が続く新沙洞のガロスキルは、2000年代後半から流行し、高級ブランドのショップが集まった。家賃の高騰で個人店が撤退し、2010年代後半は「以前ほど面白くない」と言われることが増えた。

聖水洞(ソンスドン)
元は工場街。2010年代後半から倉庫や工場をリノベしたカフェ・ギャラリーが増え、「ソウルのブルックリン」と呼ばれるようになった。2020年代も継続的に開発が進んでいる。

商業賃貸の権利保護問題

韓国では商業賃貸の保護を定める「상가건물 임대차보호법(商業用建物賃貸借保護法)」があるが、契約更新の上限や賃料増加率の規定が借主にとって常に有利ではないという指摘がある。

大家側が賃料を大幅に引き上げる、または自己使用を名目に立ち退きを求めるケースが問題になることがある。この法的な非対称性が、個人店が退場しやすい構造的背景のひとつだ。

今面白いエリアはどこか

2025〜2026年時点で在住者の間で話題になっているエリアをいくつか挙げると(あくまで現地での評判ベース):

연남동(ヨンナムドン): 弘大の西側。緑道公園(空港鉄道跡地)沿いに個性的な飲食店が多い。 창신동(チャンシンドン): 縫製の街として知られる下町エリア。観光化が始まりつつある段階。 을지로(ウルジロ): 工業系の問屋街。オールドスクールな店と若いクリエイターが共存。

ただしこれらも、「今から数年でガロスキル化する可能性がある」という見方もある。


ジェントリフィケーションは「誰かの生活が追い出されること」でもある。流行エリアを楽しみながら、その背後で何が起きているかを知ることも、ソウル在住者の視点として持っておく価値がある。

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