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広蔵市場の屋台で何を食べるか——ソウル最古の市場と胃袋の経済学

ソウル最古の常設市場・広蔵市場のストリートフード完全ガイド。ビンデトック、麻薬キンパ、ユッケの相場と注文の仕方を解説。

2026-05-08
広蔵市場屋台ストリートフードソウル韓国

この記事の日本円換算は、100KRW≒10.5円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(KRW)の金額を基準にしてください。

広蔵市場(광장시장、クァンジャンシジャン)には、約5,000の店舗と屋台がひしめいている。1905年に韓国初の常設市場として開場し、120年以上の歴史を持つ。ソウルの胃袋の原点ともいえる場所です。

市場の構造——2階建ての迷宮

広蔵市場はソウル地下鉄1号線鍾路5街駅の直上にある。東西約200m、南北約300mの敷地に、1階は生鮮食品・乾物・屋台、2階は韓服(チマチョゴリ)や布地の卸売店が並ぶ。

屋台が集中しているのは市場の中央通路「うまいもん通り(먹거리골목)」。長さ約200mの通路の両側に、数十の屋台がカウンター席を並べています。平日の昼でも8割方席が埋まり、週末は立ち食い覚悟です。

何を食べるか——定番5品

ビンデトック(빈대떡)

緑豆のチヂミ。広蔵市場の看板メニュー。緑豆を水に浸してすりつぶし、豚肉・もやし・キムチを混ぜて鉄板で焼く。注文してから焼き始めるので5〜10分待つ。1枚5,000〜7,000ウォン(約525〜735円)。ごま油の香りと緑豆の素朴な味が合う。マッコリ(1杯3,000〜5,000ウォン)と一緒に頼むのが定番です。

麻薬キンパ(마약김밥)

直径2cmほどの細巻きキンパ。「麻薬」の名前は「中毒になるほど美味い」という意味。具はたくあんとにんじんだけのシンプルなもので、練りカラシ入りの醤油ダレにつけて食べます。1皿(10〜15本)で3,000〜4,000ウォン(約315〜420円)。市場全体で最も安い部類。

ユッケ(육회)

生の牛肉を細切りにし、ごま油・梨・卵黄で和えたもの。日本では規制が厳しくなった生肉料理が、韓国ではまだ日常的に食べられています。1人前15,000〜20,000ウォン(約1,575〜2,100円)。広蔵市場のユッケは新鮮で、肉の甘みが際立ちます。

スンデ(순대)

韓国式の腸詰め(ソーセージ)。豚の腸に春雨・豚の血・もち米を詰めて蒸したもの。見た目のインパクトが強いが、味はマイルド。1皿5,000〜8,000ウォン(約525〜840円)。塩をつけて食べるのが市場スタイル。

トッポッキ(떡볶이)

餅を甘辛いコチュジャンソースで煮込んだもの。広蔵市場のトッポッキは屋台によって辛さが全く違う。1皿3,000〜5,000ウォン(約315〜525円)。

注文の仕方——指差しで成立する

屋台に座ると、おばちゃん(アジュンマ)が韓国語で何か聞いてくる。メニューは壁に貼ってあるか、目の前に実物がある。指を差して数を示せば通じます。

韓国語ができなくても問題ない。ただし「辛くしないで(덜 맵게 해주세요、トル メプケ ヘジュセヨ)」だけは覚えておくと便利。デフォルトの辛さが日本人の想定を超えていることがあります。

支払いは現金が確実。カード対応の屋台も増えたが、小規模な屋台は現金のみのところがまだ残っています。

価格の変遷——観光客価格になったのか

広蔵市場は2019年にNetflixの「ストリート・グルメを求めて」で紹介されてから、外国人観光客が急増しました。それ以前から韓国国内の観光客には人気でしたが、Netflixの影響でグローバルな知名度を獲得した。

観光客の増加に伴い、価格も上昇しています。ビンデトックは5年前まで3,000〜4,000ウォンで食べられたが、今は5,000〜7,000ウォン。ユッケも10,000ウォン台前半だったのが15,000ウォン以上に。原材料費と人件費の上昇もあるが、「観光客価格」の側面も否定できない。

とはいえ、ソウルのレストランで同じものを食べるよりはまだ安い。ビンデトック+ユッケ+マッコリ2杯で25,000〜30,000ウォン(約2,625〜3,150円)。2人分の軽い夕食として考えれば、東京の居酒屋と同程度です。

朝から夜まで——時間帯で変わる顔

広蔵市場は朝8時頃から動き始め、屋台のピークは11時〜14時と17時〜20時。平日は21時頃に多くの屋台が閉まりますが、金曜・土曜の夜は22時過ぎまで営業しているところもある。

朝の市場は、屋台よりも生鮮食品の卸売が主役。プロの料理人が仕入れに来る時間帯で、屋台とは違う市場の素顔が見られます。

2階の韓服・布地エリアは平日の日中のみ営業。結婚式用の韓服を仕立てたい場合は、ここで生地を選んで市場内の仕立て屋に依頼できる。仕立て代は韓服専門店の半額程度で済むことが多い。

広蔵市場へのアクセス

最寄り駅はソウル地下鉄1号線「鍾路5街(종로5가)」駅、8番出口から徒歩1分。2号線・5号線の「乙支路4街(을지로4가)」駅からも徒歩5分。

市場の周辺には東大門(トンデムン)のファッション卸売街があり、広蔵市場→東大門ショッピング→清渓川(チョンゲチョン)散歩というルートで半日楽しめます。

120年間、ソウルの胃袋を支えてきた市場。観光地化が進んでも、朝の仕入れ風景や常連のアジュンマたちの会話には、ガイドブックに載らない日常が残っています。

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