회식(フェシク)——韓国の職場飲み会が「義務」になる理由
韓国の職場文化に欠かせない회식(フェシク)。ただの飲み会ではなく、組織への帰属と忠誠を示す場として機能してきた。その文化が今、静かに変わりつつある。
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金曜の夜、ソウルの繁華街では同じ会社の社員とおぼしきグループが焼き肉屋に吸い込まれていく。1次会が終わると2次会(二軒目)、さらに3次会(三軒目)へと流れていく。翌朝は二日酔いのまま出社する。これが会食(회식、フェシク)の典型的な流れだ。
飲み会が「義務」になる構造
日本の会社でも飲み会はあるが、韓国のフェシクには独特の強制力がある。なぜか。
一つは儒教的な上下関係だ。上司が「今日フェシクだ」と言えば、断ることは非常に難しい。断れば「チームワークがない」「やる気がない」と評価に響きかねない。特に入社間もない若手にとっては、フェシクへの参加そのものが忠誠の証しとして見られてきた。
もう一つは、正式な業務時間には話せないことをフェシクで解決する文化がある。昇進交渉、プロジェクトの根回し、上司へのクレームの遠回し——酒の席でこそ本音が出るという信念が根強い。
フェシクの費用は誰が払う?
フェシクの費用は基本的に上司や会社が払う慣習がある。部長が全額払うか、会社の経費として落とされることが多い。焼き肉や豚足(족발)、サムギョプサルがテーブルを埋め、ソジュ(焼酎)とビールが混ぜられた「ソメク」が注がれる。
1次会で1人あたり2万〜4万ウォン(2,100〜4,200円)、2次会のカラオケ(ノレバン)で1人5,000〜1万ウォン(525〜1,050円)程度が一般的な相場(推定)だ。
変わりつつある若い世代
2010年代後半から、フェシク文化への反発が強まっている。ワーク・ライフ・バランスを重視する「ワラベル(워라밸)」の意識が広まり、フェシクを断ることへの抵抗感が薄れてきた。MZ世代(ミレニアル+Z世代)と呼ばれる若手を中心に、「業務外の時間は個人のもの」という考え方が浸透しつつある。
それでもフェシクはまだ健在だ。なくなるのではなく、任意参加の割合が増えたり、飲み会形式からランチや映画鑑賞に変わったりと、形を変えながら残っている。
在住日本人の間では「日本の飲み会と似ているが、お酒の量が段違い」という声が多い。韓国のフェシクを乗り切るコツは、最初から飲まないキャラを確立することだ、という知恵も語り継がれている。