韓国の年齢計算——「数え年」から「満年齢」に変わった2023年の制度変更
韓国は2023年6月に法律上の年齢計算を「韓国式年齢(数え年)」から「満年齢」に統一した。日常会話での感覚と法律上の扱いが変わった背景と現在の使われ方を解説する。
「韓国では生まれた瞬間に1歳」という話は、韓国に興味を持つ日本人がほぼ必ず耳にする文化的な豆知識だ。しかし2023年6月28日、その制度は公式には廃止された。変化の内容と、実際の日常への影響を整理する。
韓国の年齢計算——3種類が並存していた
2023年の改正前、韓国には実質3種類の年齢計算方式が混在していた。
①韓国式年齢(세는나이 / セヌナイ): 生まれた年を1歳として、毎年1月1日に1歳加算する。生まれた日に関係なく、12月31日生まれでも翌日には2歳になる。
②年の差年齢(연 나이 / ヨンナイ): 現在の西暦年から生まれた西暦年を引いた数。0歳から始まる。兵役法・青少年保護法などの一部の法律で使われていた。
③満年齢(만 나이 / マンナイ): 誕生日が来るまでは年齢に1を加算しない、日本と同じ計算方式。
この3種類が法律・行政・日常会話で入り混じっていたため、「飲酒可能な年齢は何歳?」「兵役の対象は?」が曖昧になるケースがあった。
2023年の法改正
2022年12月に「韓国式年齢廃止・満年齢統一法」が可決され、2023年6月28日に施行された。
法律上の変更点:
- 民法・行政基本法上の年齢計算が「満年齢」に統一
- 医薬品・手術同意書など医療分野、行政手続きなどで満年齢が使われるようになった
変わらなかったこと:
- 兵役法・青少年保護法など一部は「年の差年齢」のまま
- 日常会話でのセヌナイ(韓国式年齢)の使用は禁止されていない
日常への影響
2024〜2026年時点でも、韓国人どうしの会話では韓国式年齢が日常的に使われている。「나 올해 스물다섯(今年25歳)」という表現は、満年齢ではなく韓国式年齢で話していることが多い。
外国人にとっての影響は主に行政手続きの場面だ。
- 病院や役所では「만 나이(マンナイ)で何歳?」と聞かれることが増えた
- 会話で韓国式年齢を聞かれた場合、「日本でいう〇歳です」と答えれば自動的に満年齢として理解される
在住日本人にとっての実用面
日本人が韓国に住む上で、年齢計算の差で困る場面は以下のような状況だ。
飲酒・タバコの購入: 法改正後も若年者保護関連は「年の差年齢」を使う規定が残っており、「19歳以上」の確認は「満19歳」を指す場合と「年の差年齢19以上」の場合が混在している。実務上は身分証で確認されるため問題になることは少ない。
医療同意書・手術: 「何歳ですか?」という質問は満年齢で答えることが想定されるようになった。
社会的な場面: 初対面で「몇 살이에요?(何歳ですか?)」と聞かれたとき、相手が韓国式年齢を想定している可能性は依然としてある。「만으로요?(満年齢で?)」と確認してから答えると丁寧だ。
制度は変わっても文化はすぐには変わらない。この「時差」を知っておくだけで、韓国社会での会話のズレが少なくなる。