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文化・社会構造の分析

韓国男性のスキンケア事情:男がBBクリームを塗る国の文化的背景

韓国ではBBクリームを使う男性は珍しくない。男性向けスキンケア市場は世界でもトップクラスの規模を誇る。なぜ韓国でここまで男性美容が根付いたのか、文化的背景とともに探る。

2026-07-06
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会議室に入ってきた韓国人の男性同僚、よく見ると肌がやたらと綺麗だ。ベースメイクをしているのかと思ったが、それが「当たり前のこと」としてそこにある。日本人の感覚では少し面食らう場面だ。

韓国は男性スキンケア消費量が世界一水準

調査会社の推計では、韓国は男性一人当たりのスキンケア製品消費量が世界最上位水準にある(推定)。これは単にK-popアイドルの影響だけではなく、社会構造的な背景がある。

BBクリームの起源はドイツの医療用途だが、世界に広めたのは韓国のコスメブランドだ。韓国で「男性向けBBクリーム」が定着したのは2000年代初頭で、この時期に男性向けコスメのマーケティングが一気に展開された。

軍隊とスキンケアの奇妙な関係

韓国では約20ヶ月の兵役義務がある。入隊前に「男子校の先輩が後輩にスキンケアを教える」文化が、韓国の大学・軍隊文化の中に定着している。

兵役では過酷な屋外訓練があり、日焼けや肌荒れが起きやすい。基地内でも日焼け止めや保湿クリームを使う習慣が定着しており、「スキンケアは男らしさと矛盾しない」という意識が軍隊文化を通じて広まったとも言われる。

就活とスキンケアの関係

韓国の就職市場では、履歴書に顔写真の添付が一般的だ。写真が書類選考に影響するという意識が広くあり、就活生の間では写真スタジオでの修正だけでなく、スキンケアへの投資が「就活準備」の一部として認識されている。

ある調査では、韓国の大学生男性の過半数がスキンケアを習慣にしているとの結果もある(推定)。この動機は「モテたい」だけでなく「社会的評価」という実利的な理由が混在している。

どんな製品が使われているか

韓国男性の一般的なスキンケアの最小セットは「トナー(化粧水)→保湿クリーム→日焼け止め」の3ステップ。価格帯はコスメティック系ブランド(イニスフリー、ネイチャーリパブリック等)のものが1製品あたり1万〜3万ウォン(1,050〜3,150円)程度で入手でき、日常使いのハードルは低い。

在住外国人の男性も、ソウルで生活していると「スキンケアしてみようかな」という気持ちになりやすい環境がある。コスメ専門店が多く、店員も丁寧に相談に乗ってくれる。

日本との意識の違い

日本でも男性美容市場は成長しているが、「人前でBBクリームを塗る」ことへの心理的ハードルはまだ高めだ。韓国では職場のトイレで同僚が鏡を見ながらBBクリームを直す場面が普通にある。

「清潔感」の定義が広い、という言い方もできる。髭の剃り方・髪型・肌の質感まで含めた「見た目の管理」が社会的な礼儀として機能しているのが韓国の文化だ。


「男がスキンケアするのは変」という感覚が刷り込まれているとすれば、それは文化の問題にすぎない。韓国では数十年かけてその文化を塗り替えた。どちらが「正しい」かではなく、選択肢があるほうが豊かだ、という見方もできる。

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