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韓国の伝貰(チョンセ)詐欺——日本人在住者が実際に直面するリスクと対策

韓国独自の賃貸制度「伝貰(チョンセ)」は保証金を丸ごと預ける仕組みで、近年は詐欺被害が急増している。2023年の被害総額は約3.4兆ウォン。在住日本人が知るべき見極め方と対策を解説します。

2026-04-14
チョンセ賃貸住まい詐欺対策法律

この記事の日本円換算は、1KRW≒0.11円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(KRW)の金額を基準にしてください。

チョンセ(伝貰)は韓国独自の賃貸制度で、物件価格の50〜80%を保証金として預け、月々の家賃を払わない代わりに退去時に全額返してもらう仕組みだ。月額家賃が不要なのは魅力だが、2022〜2023年に大規模な詐欺被害が表面化し、国内で社会問題となった。

在住日本人がこのリスクを知らないまま契約すると、数千万円規模の損害になりうる。

チョンセ詐欺の構造——「深い穴」と呼ばれる理由

韓国国土交通部のデータによると、2023年に発覚した전세사기(チョンセ詐欺)の被害件数は全国で約2万5千件超、被害総額は約3.4兆ウォン(約3,740億円)に上る。

詐欺の典型的な手口は「깡통전세(カントンチョンセ)」と呼ばれる。物件の市場価値と同額かそれ以上のチョンセ保証金を要求し、実質的に担保価値がゼロになっている状態だ。大家が複数の物件で同様の契約を結び、退去時に保証金を返せなくなる。

なぜこれが起きるかというと、金利上昇局面で不動産価格が下落したことで担保割れが急速に広がったためだ。

日本人が特に注意すべきポイント

韓国語のドキュメントに不慣れなことが、日本人のリスクを高める要因になっている。

確認すべき3点:

  1. 등기부등본(トゥンギブドゥンボン/建物登記簿謄本)の確認:物件に抵当権・仮差押が設定されていないか。保証金+抵当権の合計が物件価格を超えていないかを必ず確認する。韓国の「부동산공시가격(不動産公示価格)」はインターネット上でも確認できる(国土交通部 실거래가 공개시스템)

  2. 전세보증보험(チョンセ保証保険)の加入:주택도시보증공사(HUG、住宅都市保証公社)や SGI 서울보증のチョンセ保証保険に加入することで、退去時に大家が返せなくなっても保険が補填する。ただし一定の要件を満たす物件でないと加入できない

  3. 확정일자(確定日付)と 전입신고(転入届):契約後すぐに区・洞の住民センターで転入届を行い、확정일자を取得することで保証金の優先順位が確定する。これを怠ると他の債権者より後回しにされるリスクがある

外国人登録証なしでは保証保険が使えない

注意点として、チョンセ保証保険(HUG)の加入には原則として外国人登録証(ARC)が必要になる。観光ビザや短期滞在では加入できない。ビザ取得前にチョンセ契約を急かされる状況は、それ自体がリスクサインだ。

現実的な選択——チョンセではなく月貰(ウォルセ)を選ぶ

リスクを避けたいなら、月々の家賃を払う**월세(ウォルセ)**を選ぶのが現実的だ。保証金はウォルセでも発生するが、チョンセと比べると額が1/5〜1/10程度になることが多い。

駐在員の場合は会社契約で物件を借りるケースが多く、この問題は相対的に軽減される。一方で自分で物件を探すワーホリや留学生は、チョンセの選択肢を強く勧められることがある。

コスト感覚だけで飛びつかず、保証保険が使えるかどうかを先に確認する。それができない物件なら、ウォルセに切り替えることを勧める選択肢として持っておきたい。


韓国の住まい探しで「チョンセが安く見える」のは事実だが、保証金を丸ごと失うリスクを無視できない状況が続いている。契約前の登記確認と保証保険の確保、この2点を省略しないことが最低限の自己防衛になる。

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