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韓国に「お盆」が二回ある——旧正月と秋夕が映す祖先と帰省の論理

韓国の二大名節、旧正月(ソルラル)と秋夕(チュソク)。どちらも民族大移動を引き起こす帰省の行事だが、その役割は微妙に違う。二つの名節から祖先祭祀の文化を読み解く。

2026-08-24
名節秋夕旧正月帰省祖先祭祀

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韓国には、日本の「お盆」と「正月」に近い大型の帰省シーズンが、年に二回ある。旧正月(ソルラル)と、秋の収穫を祝う秋夕(チュソク)だ。どちらの時期も、何千万人が一斉に故郷へ移動する民族大移動が起きる。高速道路は数珠つなぎになり、列車のチケットは取り合いになる。

似ているようで役割の異なる二つの名節から、韓国の祖先と家族をめぐる文化が見えてくる。

二つの名節の位置づけ

旧正月は、旧暦の元日を祝う行事だ。新しい年の始まりを家族で迎え、年長者に新年のあいさつ(セベ)をする。秋夕は旧暦8月15日ごろ、収穫への感謝を捧げる行事で、「韓国のお盆」とも呼ばれる。日本の夏のお盆の時期とは暦がずれるが、祖先を敬い家族が集まるという点で性格が近い。

どちらも数日間の連休になり、都市で働く人々がいっせいに地方の実家へ帰る。普段は離れて暮らす家族が、年に二回、この名節で顔を合わせる。

共通するのは「祖先を中心に集まる」こと

二つの名節に共通するのは、祖先を中心に家族が集う構造だ。

名節には、祖先を祀る儀礼(チャレ)を行う家庭が多い。決まった料理を供え、親族が集まって祖先に感謝を捧げる。この準備には手間がかかり、とくに料理を担う女性に負担が集中しがちなことが、近年は社会的な論点にもなっている。

祖先を敬う儒教的な価値観が、現代の生活の中に行事として残っている。名節は、家族のつながりと、亡くなった先祖との連続性を、年に二回確認する装置として機能している。

微妙に違う色合い

二つは似ているが、まとう空気は少し違う。

旧正月は、新年の始まりという「再出発」の色が濃い。年長者への礼を尽くし、子どもはお年玉をもらい、一年の計を立てる。秋夕は、収穫への感謝という「実り」の色がある。満月を眺め、新米や旬の食材で作った料理を囲む。

片方が一年の入り口、もう片方が実りの季節。同じ「家族が集まる帰省」でも、季節と意味づけが対になっている。一年のリズムの中で、二つの節目が家族を呼び戻す。

在住者が知っておくと役立つこと

韓国で暮らす日本人にとって、名節は生活に直接影響する。連休中は多くの店や施設が休みになり、交通機関は大混雑する。航空券や列車は早くから埋まるので、一時帰国や旅行を考えるなら早めの予約が欠かせない。

逆に、名節の前後の都市部は人が減って静かになる。普段混む場所が空くこともある。現地の家庭に招かれたら、それは深い信頼の表れだ。手土産には名節向けのギフトセットが無難になる。名節のリズムを知っておくと、生活の計画が立てやすい。


韓国に帰省シーズンが二回あるのは、旧正月と秋夕という二つの名節が、それぞれ一年の入り口と実りの季節に対応しているからだ。どちらも祖先を中心に家族が集う行事で、儒教的な価値観が現代の暮らしに息づいている。二つの名節の違いを知ると、韓国の一年のリズムが立体的に見えてくる。

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