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韓国の兵役は「行って終わり」ではない——軍隊経験が社会に残す痕跡

韓国の男性は原則として18〜28歳の間に約18〜21ヶ月の兵役義務を負う。在住外国人が知っておくべき兵役が韓国社会・職場文化・人間関係に与えている影響を解説します。

2026-04-13
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韓国の男性と友人になると、ある時期の会話に「군대 갔다 왔어요(軍隊に行って来ました)」という言葉が出てくる。どの部隊にいたか、いつ除隊したか——これが韓国の男性同士の共通言語の一つになっている。

兵役は「若い時期に行く義務」だけでなく、その経験が社会に持ち込まれるという意味で文化的な現象だ。

兵役制度の基本

韓国の병역법(兵役法)に基づき、大韓民国国籍を持つ男性は原則として兵役義務を負う。服役期間は兵種によって異なり、陸軍では약 18ヶ月(2025年時点)、海軍・空軍はやや長い。

入隊年齢は18〜28歳の間が一般的だ。大学進学者は在学中に延期し、卒業後に入隊するケースが多い。芸能人・スポーツ選手・学者等も同様の義務を負い、이슈(イシュー)になることが多い。

在日コリアンや外国籍保持者の兵役の扱いは国籍・居住実態・年齢等によって異なる。日本国籍のみを持つ人は対象外だ。

兵役経験が職場文化に与える影響

韓国の職場文化に軍隊的な要素が残っているという指摘は、在住外国人の間でも頻繁に出る話題だ。

명령과 복종(命令と服従)の文化、상하관계(上下関係)の徹底、선임/후임(先輩/後輩)のヒエラルキー——これらは軍隊組織の延長線上にある要素として職場に持ち込まれる面がある。

「군기가 빠졌다(軍紀が乱れた)」という表現が職場でネガティブに使われることや、새벽 회식(深夜の飲み会)・일요일 출근(日曜出勤)への暗黙の期待がある職場が存在する。

ただしこれを「韓国の全職場」に一般化するのは不正確で、特にスタートアップ・外資系企業では職場文化が異なるケースが増えている。

軍隊経験と男性同士のコミュニティ

韓国の男性同士の会話では、同じ期間・同じ部隊(전우:戦友)という共通体験が強い紐帯を作る。どの部隊に行ったか、配属がどこだったか——これは共通経験として話せる話題であり、初対面でも「군대 언제 다녀왔어요?(いつ軍隊から帰りましたか)」が自然な会話になる。

在住外国人の日本人男性には兵役義務がないため、この話題に入りにくいという経験をする人もいる。「俺も行ったよ」と言えない代わりに、「どんな経験でしたか」と聞くことで会話のドアが開けることがある。

女性と兵役:変化しつつある議論

韓国では女性の兵役義務はないが、이 문제(この問題)は社会的議論の対象になっている。저출산(少子化)の進行で兵力不足が予測される中、志願制への移行や女性の兵役参加についての議論が行われている。

兵役制度は韓国の歴史的背景(南北分断・朝鮮戦争)と直結している社会的な問題で、軽く論じることが難しいテーマだ。在住外国人として、この話題には教養として知識を持ちながら、政治的な意見は控えめにするのが賢明だ。

징병제(徴兵制)への個人的な感情

実際の兵役経験者の感想は「辛かったが成長できた」「何の意味もなかった」「友達ができた」等、様々だ。一般化できない個人の体験が積み重なっているのが兵役文化の実態で、批判も肯定もなく「韓国の現実の一部」として知っておくことが、在住者として韓国社会を理解する第一歩になる。

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