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徴兵制と韓国社会——2年間の空白が就職・結婚・人生設計に与える影響

韓国の徴兵制は18〜28歳の男性全員に約18〜21か月の兵役義務を課す。この制度が就職・結婚・キャリアにどう影響するか、在住外国人の視点で解説。

2026-04-29
韓国徴兵制社会就職文化

韓国で働いていると、同世代の男性が突然いなくなる場面に遭遇することがある。

「兵役に行きます」という一言で、2年近く職場から消える。韓国の徴兵制は18〜28歳の男性に課される義務で、服務期間は陸軍で約18か月、海軍・空軍で21〜22か月程度(兵種によって異なる)。この「強制的な中断」が、韓国社会のあらゆる領域に影響を与えている。

就職・キャリアへの影響

大学入学後に兵役に行く場合、通常は大学2〜3年生の時期に中断が入る。復学後は同学年より1〜2年遅れることになり、卒業・就職のタイミングがずれる。

IT業界や大企業では、兵役を考慮した採用スケジュールが組まれているが、入隊時期・除隊時期が個人によってバラバラなため、新卒一括採用の「タイミング」を逸してしまうという問題が長年指摘されている。

一方で、大企業(チェボル)でのキャリアを考える韓国人男性の間では「軍隊で得たネットワーク(同期・先輩後輩関係)が後の人生で生きる」という見方も根強い。軍隊での人間関係は日本の部活・ゼミの「縦のつながり」に近い機能を持つ。

結婚・人生設計への影響

「除隊後に就職して、安定したら結婚を考える」——この人生設計が韓国の男性の平均的な想定だが、除隊が20〜24歳、就職安定が25〜28歳前後になることが多く、結果として初婚年齢が押し上げられる要因になっている。

統計庁のデータによると、2023年の韓国男性の平均初婚年齢は約34歳で、20年前より3〜4歳高い。兵役だけが原因ではないが、2年間のキャリア中断が結婚・出産の遅延に連鎖する構造は研究者の間でも議論されている。

兵役特例制度——プロスポーツ選手・芸術家のケース

韓国には「兵役特例」制度があり、オリンピックメダリスト・アジア大会優勝者・クラシック音楽の国際コンクール入賞者などは一部の兵役義務が免除・軽減される。

BTSメンバーの兵役問題が2022〜2024年にかけて議論になったことで、この制度が国際的にも知られるようになった。最終的にBTSメンバーは順次入隊・除隊しており(2024〜2025年頃に全員除隊予定)、「例外なく兵役を果たす」方針が維持された形になった。

在韓外国人への影響

外国人(日本人を含む)は韓国の徴兵制の対象外だ。韓国国籍を取得しない限り、兵役義務は生じない。

ただし、韓国籍を持つ子どもが生まれた場合には将来的に徴兵対象になる点を意識しておく必要がある。韓国と日本の二重国籍問題は成人(22歳)時に国籍選択が求められるため、子育て世帯は早い段階で法的状況を確認しておくことが望ましい。

徴兵制は「不公平な制度」「社会的損失」という批判と、「国防の柱であり社会的経験としての価値がある」という擁護の間で、韓国国内でも常に議論が続いている。

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