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トロット——韓国演歌と世代を超えた人気の秘密

K-POPの陰で地味に見えるが、韓国で最も長く愛されている音楽ジャンルがトロット(트로트)だ。起源・スター・ブームの再来と、在住外国人が気づく独特の文化的存在感を解説する。

2026-04-27
トロット韓国音楽文化エンタメ

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テレビをつければK-POPアイドルのステージが続く——そんなイメージの韓国だが、チャンネルを少し変えると全く異なる音楽が流れている。「트로트(トゥロトゥ)」、日本語で言えば韓国演歌。オモニ(お母さん)世代の音楽と思っていたら、最近の若者世代にも広まっている。

トロットの起源と歴史

トロットの起源は諸説あるが、日本統治時代(1910〜1945年)に朝鮮半島に入ってきた日本の演歌・流行歌(엔카)の影響が大きいとされる。「ポントジャプガ」という旧来の朝鮮民謡と日本の音楽様式が融合して生まれた形態が、後にトロットと呼ばれるようになった。

戦後〜1970〜80年代にかけて黄金期を迎え、イミジャ・南珍(ナムジン)・太進児(テジナ)などのスターが国民的人気を誇った。日本の演歌と歌詞の情感・声の使い方が似ていると感じる人は多い。

2020年代のトロット・ブーム再来

2020年、TV朝鮮の「ミスター・トロット(미스터트롯)」というオーディション番組が視聴率30%超の大ヒットを記録し、トロットが若い世代に再発見された。優勝者の임영웅(イム・ヨンウン)はK-POPアイドル顔負けの人気を獲得し、コンサートチケットは即完売が続く。

続編「미스트롯(ミス・トロット)」も同様に高視聴率を記録。「シニア層の音楽」というイメージが崩れ、20〜30代の若者がトロットを「レトロで面白い」と再評価する流れが生まれた。

トロットの音楽的特徴

日本の演歌と共通する要素として:

  • 「ゴソプル(꺾기)」と呼ばれる独特のこぶし(音を揺らす唱法)
  • 失恋・故郷・望郷をテーマにした歌詞
  • ダイアトニックスケールより5音音階を多用

K-POPとの最大の違いは「声の表現」にある。トロットはビブラートとこぶしが評価の核心で、技巧派の声が求められる。

在住外国人がトロットに気づく瞬間

タクシーに乗ると高確率でトロットが流れている。食堂のテレビでトロット番組が流れている。市場のBGMがトロット。韓国に住んで一定期間たつと、日常の空気の中でトロットが染み込んでくる。

日本語を話せる年配の韓国人と話すと「日本の演歌と似ていますね」という話になることがある。歴史的な複雑さを持ちながらも、音楽の共鳴として興味深い瞬間だ。

言葉はわからなくても、トロットの「情(チョン)」は伝わってくる——そう感じる在住外国人は少なくない。

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