韓国の国民年金——外国人の加入義務と帰国時の脱退一時金
韓国に就労・在住する外国人の国民年金加入義務を解説。日韓社会保障協定(2017年発効)による適用除外の仕組みと、帰国時の脱退一時金(탈퇴일시금)の申請方法まで整理。
韓国ウォン(KRW)の日本円換算は、1KRW≒0.11円で計算しています(2026年4月時点)。
韓国で働く外国人は、原則として韓国の国民年金に加入しなければならない。「どうせ帰国するのに意味あるの?」と思う人も多いが、帰国時に脱退一時金として戻ってくる。仕組みを理解しておくと損をしない。
外国人の国民年金加入義務
韓国の国民年金制度(국민연금)は、韓国国内で就労する18歳以上60歳未満の人が加入義務を負う。外国人も原則として対象だ(出典:国民年金公団公式サイト www.nps.or.kr)。
ただし適用除外の条件が二つある。
1. 社会保障協定による相互免除 韓国は複数の国と社会保障協定を締結しており、協定国の被保険者は韓国の国民年金加入が免除される(または韓国側の加入を選ぶかどうかを選択できる)。
日本との間には2017年8月17日に日韓社会保障協定が発効している(出典:日本年金機構)。この協定により、日本の会社から韓国に派遣された日本人(日本の年金に加入したまま韓国で就労)は、韓国の国民年金加入が免除される。
2. ビザ種類による適用除外 短期就労・研修目的の特定ビザ(C-4、D-2等)保持者は加入対象外になる場合がある。ビザ種類による詳細は国民年金公団に確認が必要だ。
社会保障協定の適用手続き
日本の会社から韓国に派遣された場合、協定の適用を受けるには「適用証明書」が必要だ。
手続きの流れ(日本人・派遣の場合):
- 日本の会社が日本年金機構に「適用証明書」を申請
- 日本年金機構から適用証明書が発行される
- 韓国の勤務先に提出し、国民年金の適用除外を申請
個人で韓国の会社に直接採用されたケース(現地採用)の場合、日本の年金に加入していないことが多く、社会保障協定による免除が使えない場合がある。その際は韓国の国民年金に加入することになる。
保険料率
韓国の国民年金保険料率は収入の**9%(労使折半:労働者4.5%・使用者4.5%)**だ(出典:国民年金公団)。
例:月給300万ウォン(約33万円)の場合
- 保険料総額: 27万ウォン(約3万円)/月
- 本人負担: 13.5万ウォン(約1.5万円)/月
- 会社負担: 13.5万ウォン(約1.5万円)/月
月給から自動控除されるため、給与明細を確認すると「국민연금(국민年금)」の控除項目として記載されているはずだ。
帰国時の脱退一時金(탈퇴일시금)
韓国の国民年金に加入していた外国人が帰国する場合、一定条件下で**脱退一時金(탈퇴일시금)**として払い込んだ保険料の一部が還付される。
受給条件(出典:国民年金公団):
- 韓国国籍を持たない外国人であること
- 帰国(韓国外に出国)したこと
- 国民年金加入期間が10年未満であること(10年以上だと年金受給権が発生する)
- 出国日から2年以内に申請すること
還付額の計算: 加入期間に応じた金額が支給される。原則として、本人が支払った保険料(労働者負担分)に利息を加えた金額が返還される。会社負担分は含まれない点に注意が必要だ(一定条件下では会社負担分の一部も含まれるケースがあるが、詳細は国民年金公団に確認を)。
申請方法
国外から申請する場合(帰国後):
- 国民年金公団の海外申請制度を利用。オンライン申請または郵便での申請が可能
- 必要書類:パスポートコピー・出国証明・銀行口座情報(海外送金可能な口座)
- 申請先:国民年金公団(www.nps.or.kr)の海外お問い合わせ窓口
韓国在住中に申請する場合(出国前):
- 出国前に国民年金公団窓口で申請する方法もある
- 住民センター(구청)または国民年金公団支社で手続き可能
帰国後2年が経過すると時効で受給権が消滅するため、忘れずに申請することが重要だ。
日韓年金通算
日韓社会保障協定では、年金加入期間の通算規定も含まれている。日本と韓国の加入期間を合算して受給資格を判断できる場合があるため、長期間の海外就労を経て年金受給資格を満たしていない人は確認する価値がある(詳細は日本年金機構または国民年金公団に問い合わせを)。
よくある疑問
「10年以上加入すると年金をもらえるの?」 そのとおり。国民年金に10年以上加入(保険料を払い込んだ月が120ヶ月以上)すると、老齢年金の受給権が発生する。65歳(または繰り下げ受給)から受け取れる。長期駐在・永住の場合は、脱退せずにそのまま受給権を得る選択肢もある。
「保険料を払い込んでいたのに手続きしなかったら?」 出国から2年が経過すると時効になり、脱退一時金は受け取れなくなる。帰国後は早めに動くことを強く勧める。
韓国での就労が始まった時点で、社会保障協定の適用対象かどうかを会社のHR担当または会計士に確認しておくのが最善だ。適用漏れや二重加入は後から気づいても手続きが複雑になる。