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屋上部屋(オクタッパン)——韓国ドラマの舞台が実は「住居格差」の象徴だった話

韓国ドラマでおなじみの屋上部屋(옥탑방/オクタッパン)の実態を解説。家賃相場、法的位置づけ、断熱問題、半地下との比較、ソウルの住居格差の構造まで在住日本人向けに分析。

2026-05-30
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『パラサイト 半地下の家族』で世界的に知られるようになった韓国の半地下(バンジハ)。しかし、ソウルの住居格差を語るなら、もう一つの象徴を見る必要がある。屋上部屋(옥탑방/オクタッパン)だ。

韓国ドラマでは「貧しいが夢のある若者が住む、見晴らしのいいロマンチックな部屋」として描かれる。現実はかなり違う。

屋上部屋の正体

オクタッパンとは、マンションやビルの屋上に増築された部屋のことだ。多くの場合、もともと屋上の機械室や物置だったスペースを住居に改造したもの。建築基準法上はグレーゾーンで、正式な「住居」として登記されていないケースが多い。

月額ウォルセ(月払い家賃)は30万〜60万ウォン(約31,500〜63,000円)程度。ソウルのワンルーム平均が50万〜80万ウォン(約52,500〜84,000円)であることを考えると安いが、理由がある。

夏は蒸し風呂、冬は冷凍庫

屋上部屋の最大の問題は断熱性能だ。直射日光を受ける屋上の構造物なので、夏の室内温度は40度を超えることがある。エアコンをフル稼働させると電気代が月20万〜30万ウォン(約21,000〜31,500円)になり、家賃の安さが帳消しになる。

冬はその逆で、暖房効率が極端に悪い。壁と天井からの放熱が大きく、オンドル(床暖房)があっても足元しか暖まらない。水道管が凍結して水が出なくなるケースもある。

半地下 vs 屋上部屋——ソウルの住居ヒエラルキー

ソウルの住居には暗黙のヒエラルキーがある。

住居タイプ家賃目安(月額)特徴
アパート(マンション)80万〜200万ウォン+韓国社会のスタンダード。資産価値あり
ワンルーム(オフィステル)50万〜80万ウォン単身者向け。駅近に多い
屋上部屋30万〜60万ウォン見晴らしは良いが断熱性能が致命的
半地下25万〜50万ウォン湿気・カビ・浸水リスク
考試院20万〜40万ウォン3〜5畳の極小個室。家具付き

ソウル市は2022年以降、半地下住居の新規許可を停止し、既存の半地下も段階的に住居利用を制限する方針を打ち出した。屋上部屋にも同様の規制強化が議論されている。

日本人留学生・ワーホリ層の選択肢

ソウルに短期滞在する日本人の中には、家賃の安さからオクタッパンを選ぶ人もいる。不動産アプリ「직방(チクバン)」や「다방(タバン)」で検索できるが、現地で実物を見てから決めることを強く推奨する。

写真と実物の差が大きいのが屋上部屋の特徴だ。広角レンズで撮影された写真では広く見えるが、実際は10〜15㎡程度のことが多い。天井高も低い場合がある。

契約前にチェックすべきは、断熱材の有無、エアコンの設置状況、水道・排水の状態、そして屋上への出入り口の施錠方法だ。防犯面でも不安がある物件は少なくない。

都市が生み出す「余白の住居」

オクタッパンは、ソウルの地価高騰が生み出した「本来住居ではない空間を住居にする」現象の一つだ。半地下も屋上部屋も、建物の余白を住居に変換することで需要と供給のギャップを埋めている。

ドラマでは「ここから見える景色は最高だ」と主人公が語る。実際に屋上から見えるソウルの夜景は確かに美しい。ただし、その美しさの代償として、夏の睡眠と冬の水道管を差し出す必要がある。

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