韓国でゴルフが「室内スポーツ」になった理由——スクリーンゴルフ大国の論理
韓国では街中のビルにスクリーンゴルフ店がひしめき、ゴルフが手軽な室内娯楽として定着している。コースより画面でプレーする国民が多い背景を、コストと都市の制約から読み解く。
この記事の日本円換算は、100KRW≒10.5円で計算しています(2026年6月時点)。為替は変動するので、現地通貨の金額を基準にしてください。
韓国でゴルフをする、と聞いて緑の芝生を思い浮かべると、実態とずれる。多くの人が思い浮かべるのは、ビルの一室で大きなスクリーンに向かってボールを打つ「スクリーンゴルフ」だ。韓国では、ゴルフがすっかり室内娯楽として根づいている。
なぜ屋外スポーツであるはずのゴルフが、画面の中に引っ越したのか。そこには都市とコストの論理がある。
スクリーンゴルフとは何か
スクリーンゴルフは、センサーで実際のスイングとボールの動きを計測し、大画面に映したバーチャルのコースをプレーする仕組みだ。本物のクラブで本物のボールを打つが、飛んでいく先はスクリーンの中。雨でも夜でも、ビルの一室で18ホールを回れる。
韓国の都市部では、こうした店がオフィス街にも住宅街にもある。仲間と立ち寄って数時間プレーし、軽食やお酒を楽しむ——会食やレジャーの定番の一つになっている。
なぜ屋外コースではないのか
理由はシンプルで、屋外でラウンドするコストが高いからだ。
国土が山がちで、平地の限られた韓国では、ゴルフ場の数も立地も制約がある。週末に郊外のコースでプレーすれば、料金に加えて移動時間も半日以上かかる。気候の面でも、寒い冬や猛暑、梅雨の時期は屋外プレーが難しい。
スクリーンゴルフは、そのハードルをまとめて下げる。短時間で、天候に左右されず、街中で、比較的安く楽しめる。価格は店や時間によるが、屋外ラウンドよりはるかに手軽な水準だ。「ゴルフをやりたいが時間も金もそこまでかけられない」層をすくい上げた。
技術が文化を変えた例
興味深いのは、技術が娯楽の形そのものを変えたことだ。
センサーとシミュレーション技術が進歩したことで、室内でも本格的なプレー感が得られるようになった。その結果、「ゴルフ=郊外で一日がかり」という前提が崩れ、「ゴルフ=仕事帰りに数時間」という新しい遊び方が生まれた。スポーツが、都市の生活リズムに合わせて再設計された格好だ。
これは、屋外の運動が室内のフィットネスマシンに置き換わっていった流れにも似ている。空間と時間の制約が、娯楽の形を内側へと向かわせる。
在住者・旅行者の楽しみ方
韓国で暮らす・滞在する日本人にとって、スクリーンゴルフは現地の人との交流の入り口になりやすい。会食の二次会や、同僚との週末の遊びに誘われることもある。
ゴルフ未経験でも、レンタルクラブがあり、初心者向けのモードを選べる店が多いので気軽に試せる。打ちっ放しの練習場感覚で楽しむこともできる。コースに出る前の練習の場としても使える。料金体系は店ごとに違うので、人数と時間で確認しておくと安心だ。
韓国でゴルフが室内に引っ越したのは、流行というより、限られた土地・時間・コストへの合理的な適応だった。スクリーンの中でクラブを振る光景は、都市の制約が娯楽の形をどう変えるかを示す、わかりやすい一例になっている。