ソウルと釜山、生活コストの差は給与差を上回るか
ソウルと釜山の家賃・食費・交通費を実数で比較し、給与水準の差を考慮したときの損益分岐点を計算する。釜山移住が経済的に成立するかを数字で検証する。
この記事の日本円換算は、100KRW≒10.5円で計算しています(2026年4月時点)。為替は変動するので、現地通貨(KRW)の金額を基準にしてください。
「ソウルは高い、釜山は安い」はよく聞く。だが給与も安い。生活コストの差が給与差を上回るなら釜山が得、下回るならソウルが得。数字で確認する。
生活コスト: ソウル vs 釜山
Numbeo・expatistan等の2025年データと各種統計を基にした比較。
| 項目 | ソウル(KRW/月) | 釜山(KRW/月) | 差 |
|---|---|---|---|
| 家賃(ワンルーム、中心部) | 700,000〜1,200,000 | 350,000〜550,000 | -50〜54% |
| 家賃(1BR、中心部外) | 500,000〜700,000 | 300,000〜450,000 | -36〜40% |
| 食費(自炊中心) | 400,000〜500,000 | 350,000〜450,000 | -10〜13% |
| 外食(ランチ1回) | 9,000〜12,000 | 7,000〜10,000 | -17〜22% |
| 交通費(地下鉄定期相当) | 60,000〜80,000 | 50,000〜65,000 | -17〜19% |
| 光熱費 | 100,000〜150,000 | 80,000〜130,000 | -13〜20% |
| 通信費 | 50,000〜70,000 | 50,000〜70,000 | 0% |
生活コストの差は主に家賃から来ている。食費・交通費の差は10〜20%程度で、通信費はほぼ同じ。
総生活コスト(家賃込み・ワンルーム中心部):
- ソウル: 月1,400,000〜2,100,000KRW(約147,000〜220,500円)
- 釜山: 月950,000〜1,400,000KRW(約99,750〜147,000円)
差額: 月450,000〜700,000KRW(約47,250〜73,500円)。
給与水準: ソウル vs 釜山
韓国統計庁の「地域別雇用調査」および各種求人データ。
| 指標 | ソウル | 釜山 | 差 |
|---|---|---|---|
| 平均月給(全業種) | 約3,500,000KRW | 約2,800,000KRW | -20% |
| 中央値月給 | 約3,000,000KRW | 約2,400,000KRW | -20% |
| 税・社会保険控除後手取り | 約2,550,000KRW | 約2,040,000KRW | -20% |
給与の差は概ね20%。生活コストの差が家賃を中心に30〜40%あるのに対し、給与差は20%。つまり、生活コストの低下幅が給与の低下幅を上回っている。
損益分岐点を計算する
手取り収入から生活コストを引いた「可処分所得」で比較する。
ソウル(手取り中央値):
- 手取り: 2,550,000KRW
- 生活コスト: 1,750,000KRW(中央値想定)
- 可処分所得: 800,000KRW(約84,000円)
釜山(手取り中央値):
- 手取り: 2,040,000KRW
- 生活コスト: 1,175,000KRW(中央値想定)
- 可処分所得: 865,000KRW(約90,825円)
可処分所得で比較すると、釜山の方が月65,000KRW(約6,825円)多い。年間で780,000KRW(約81,900円)の差。
数字上は釜山が僅かに有利だが、大差ではない。
給与帯別に見ると結論が変わる
上記は「中央値の給与」で計算した場合だ。給与帯によって結論が変わる。
高給与帯(ソウル月給4,500,000KRW、釜山で同じ仕事が3,600,000KRW):
- ソウル可処分: 4,500,000 × 0.85(概算手取り率)- 1,750,000 = 2,075,000KRW
- 釜山可処分: 3,600,000 × 0.85 - 1,175,000 = 1,885,000KRW
- ソウルが月190,000KRW有利
高給与帯ではソウルの方が有利になる。給与の絶対額が大きいため、20%の差額(900,000KRW)が生活コスト差(575,000KRW)を上回る。
低給与帯(ソウル月給2,200,000KRW、釜山1,760,000KRW):
- ソウル可処分: 2,200,000 × 0.88 - 1,750,000 = 186,000KRW
- 釜山可処分: 1,760,000 × 0.88 - 1,175,000 = 373,800KRW
- 釜山が月187,800KRW有利
低給与帯では釜山が圧倒的に有利。ソウルでは手取りのほとんどが生活費に消えるが、釜山では家賃の安さが直接可処分所得に効く。
日本人にとっての釜山移住の経済合理性
日本人が韓国で働く場合、多くは日系企業の現地法人か、日本語を使う業務(翻訳・通訳・カスタマーサポート等)に就くことが多い。
こうした求人はソウルに集中している。釜山には日系企業の拠点が少なく、日本語関連の求人も限られる。
つまり、釜山移住の経済的メリット(家賃の安さ)を享受するには、「釜山でも同水準の給与を得られる仕事」が前提になる。リモートワークで日本やソウルの企業から仕事を受けるフリーランスなら、釜山の経済的メリットを最大限に活かせる。
まとめ: 給与帯で答えが変わる
| 給与帯 | ソウル vs 釜山 |
|---|---|
| 低給与帯(月給220万KRW以下) | 釜山が有利(家賃差が決定的) |
| 中給与帯(月給300万KRW前後) | ほぼ同等 |
| 高給与帯(月給400万KRW以上) | ソウルが有利(給与差が生活コスト差を上回る) |
| リモートワーカー(ソウル水準の給与で釜山に住む) | 釜山が圧倒的に有利 |
「ソウルと釜山、どちらが得か」は一律に答えられない。自分の給与帯とリモートワーク可否で計算してみると、結論が出る。