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韓国の夏の食文化:なぜ暑い日に熱い鍋を食べるのか

「以熱治熱(熱をもって熱を制す)」の発想で、韓国では夏にサムゲタンや熱々の料理を食べる文化がある。その背景と、夏季限定の食文化を紹介する。

2026-07-03
夏の食事サムゲタン食文化三伏이열치열

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「なんで夏に熱い鍋を食べるの?」

ソウルで最初の夏を過ごした日本人が、韓国人の同僚にそう聞いたとき、返ってくる答えはほぼ決まっている。「이열치열(イヨルチヨル)」。以熱治熱、熱で熱を制する、という意味だ。

三伏(삼복)とサムゲタン

韓国の夏の食文化の中心にあるのが「삼복(サムボク/三伏)」という概念。旧暦に基づく「初伏・中伏・末伏」の3日間で、夏の最も暑い時期にあたる。

この日に何を食べるかが一大行事になっている。定番はサムゲタン(参鶏湯)。若鶏の丸ごと一羽に、高麗人参・もち米・栗・なつめを詰めて数時間煮込んだスープ料理だ。

三伏期間中のサムゲタン専門店は、開店前から行列ができる。待ち時間1〜2時間が当たり前で、有名店では前日から予約が必要なこともある。

価格は1人前2万〜2万5,000ウォン(2,100〜2,625円)前後。チェーン店なら1万5,000〜1万8,000ウォン(1,575〜1,890円)で食べられる。

なぜ夏に熱いものを食べるのか(本当の理由)

医学的・栄養学的に「熱で熱を制す」が効果的かどうかは諸説ある。ただ、夏にサムゲタンを食べる習慣の背景には、より現実的な理由もある。

夏は体が汗をかくことで、ナトリウムやミネラルが失われやすい。鶏肉のたんぱく質と高麗人参の成分が、体力回復に役立つという考え方は、韓国の伝統的な食医学(食療)の流れを汲んでいる。

暑さで食欲が落ちる夏だからこそ、あえて滋養のある熱い料理を食べて体力を補う、という発想だ。

コングクス:夏の冷たい料理

熱いものだけではない。夏には「콩국수(コングクス)」も人気が出る。豆乳ベースの冷たいスープに、素麺状の麺を入れた料理で、さっぱりした豆の風味が特徴。

価格は1万〜1万5,000ウォン(1,050〜1,575円)程度。街の定食屋では夏季限定メニューとして登場し、6月末から8月いっぱいは多くの店で提供される。

ポックムバ(ナシゴレン的な発想)

夏の暑い夜に家で食べる定番が「볶음밥(ポックムバ)」、つまり炒め飯。韓国のポックムバは辛いキムチを炒め込む「キムチポックムバ」が最もポピュラー。

冷蔵庫の残りもの整理を兼ねて作る家庭料理でもあり、コンビニのインスタント版(電子レンジ調理)が数百ウォンから売られている。夏の一人暮らしの定番飯として在住外国人にも人気がある。

夏限定の街の変化

夏になるとソウルの街に「빙수(ピンス)」カフェや屋台が増える。かき氷に練乳や餡をかけたもので、最近はイチゴ・マンゴーなど果物たっぷりのスタイルが流行。専門店では1万〜1万5,000ウォン(1,050〜1,575円)のものもある。

また、コンビニの冷凍コーナーが充実するのも夏。韓国のアイスクリームはバリエーションが豊富で、日本では見かけないフレーバーも多い。特に「수박바(スバッパ)」というスイカ形のアイスは夏の定番で、スーパーや自販機で1,000〜1,500ウォン(105〜157円)程度で買える。


韓国の夏の食文化は「暑さに向き合う方法」の選択肢が多い。熱い鍋で汗をかいてリセットするか、冷たいコングクスでさっぱりするか。体の声を聞きながら選ぶのが、ソウルの夏の楽しみ方のひとつだ。

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