韓国の年末精算(연말정산)を外国人が乗り切る——13ヶ月目の給与と呼ばれる制度
韓国の給与所得者は年末精算で税額を確定する。外国人にも適用され、控除の申告漏れが直接損になる。仕組みと、外国人が特に注意すべき点を整理する実用ガイド。
この記事の日本円換算は、100KRW≒10.5円で計算しています(2026年6月時点)。為替は変動するので、現地通貨(KRW)の金額を基準にしてください。
韓国で働き始めて最初の冬、会社から「연말정산(年末精算)の資料を出してください」と言われます。何を出せばいいのか分からないまま、とりあえず何も出さずに済ませる。控除は申告しなければ適用されないので、この選択はそのまま二月の給与明細に出ます。
年末精算は、韓国の給与所得者が一年分の税額を確定させる手続きです。外国人にも適用されます。制度は毎年のように細部が改正されるため、実際の適用は国税庁(국세청)の最新情報と、会社の担当者に確認してください。ここでは、確認するときに何を聞けばいいかが分かる程度の骨組みを整理します。
仕組みは「仮払いの精算」
毎月の給与からは、所得税が源泉徴収されています。この金額は概算です。
一年が終わった時点で、実際の所得と、適用できる控除をすべて計算し直し、本来納めるべき税額を出す。すでに払った額の方が多ければ還付、少なければ追徴。
「13ヶ月目の給与」と呼ばれることがあるのは、還付が出た場合にまとまった金額が戻るからです。ただし、控除を申告しなければ還付は出ません。むしろ追徴になることもある。
日本の年末調整とよく似た仕組みですが、控除の項目と、資料の集め方が違います。
タイミングは年明け
実際の手続きは、翌年の一月から二月にかけて行われます。会社が資料を集め、計算し、二月頃の給与で精算されるのが一般的な流れです。
九月時点でこの記事を読んでいるなら、まだ準備ができます。というより、九月から意識しておくことに意味があります。控除の対象になる支出は、年内に発生したものだけだからです。年が明けてから慌てても、支出そのものは遡って作れません。
資料は国税庁のシステムに集まる
韓国の便利な点は、控除の資料が一箇所に集約される仕組みがあることです。
国税庁が提供する年末精算関連のサービスで、クレジットカードの使用額、医療費、教育費、保険料といったデータが、事前に集められた形で提供されます。自分で領収書を全部かき集める必要が、かなり減ります。
利用には本人確認が必要で、公認の電子証明書や、それに代わる認証手段が求められます。ここが外国人にとって最初のハードルになりがちです。
認証手段の準備は、年末になってからだと窓口が混みます。九月から十月のうちに、銀行や証明書の発行機関で手続きを済ませておくと、年明けが楽になります。
ここで押さえておきたいのは、認証手段は年末精算だけの話ではないという点です。韓国のオンライン金融は本人確認が多層になっていて、公認の電子証明書、金融機関ごとの認証、生体認証、ワンタイムのパスワードを組み合わせて使う場面が多い。一つ失うと、送金も申告も止まります。
だから実務上の原則は三つです。認証手段を一つに絞らない。一つしか設定していないと、それが使えなくなった時点で詰みます。携帯番号を変えたら金融機関にも届ける。番号は多くの認証の起点です。機種変更の前に移行手順を確認する。認証アプリの移行は、古い端末が手元にあるうちにしか行えない場合があります。
年末精算の時期に「証明書が使えない」と気づくと、二月の給与に間に合いません。九月のうちに一度、自分の認証手段を棚卸ししておく価値があります。
外国人が特に確認すべき四点
一つ目、外国人向けの課税方式の選択肢。外国人労働者について、通常の累進税率による課税と、別の方式のいずれかを選択できる仕組みが設けられてきました。所得水準や控除の状況によって有利不利が変わります。要件と適用期間には条件があるため、自分が対象になるか、どちらが有利かを会社の担当者や税務の専門家に確認してください。
二つ目、扶養家族の扱い。国外に居住する家族を扶養控除の対象にできるかは、要件と証明書類の問題になります。日本にいる家族について適用しようとする場合、続柄や送金の証明が求められることがあります。書類の準備には時間がかかるので、該当しそうなら早めに動く必要があります。
三つ目、住居費に関する控除。賃貸で暮らしている場合、家賃に関する控除の仕組みが利用できることがあります。ただし要件があり、契約の形態や住民登録の状況が関わります。該当するかどうかは事前に確認してください。
四つ目、決済手段の使い分け。クレジットカードやデビットカード、現金領収書の使用額に応じた控除の仕組みがあり、決済手段によって控除率の扱いが異なる設計が取られてきました。同じ金額を使うなら、控除上有利な手段を選んだ方が得になります。
なお、チョンセの保証金を融資で用意している場合、その利息の扱いや住居費に関する控除が関わってくることがあります。住まいの契約形態は、そのまま税の話に接続します。
現金領収書(현금영수증)を忘れない
現金で払う場面では、現金領収書の発行を依頼すると、その支出が記録に残ります。
店で「현금영수증 해주세요」と言い、携帯番号を伝えるだけです。この記録が控除の計算に反映されます。少額でも積み上がるので、習慣にしておく価値があります。
事前に自分の携帯番号を登録しておくと、より確実に紐付きます。
年の途中で退職・帰国する場合
年の途中で会社を辞める場合、その時点で精算が行われるのが一般的です。
帰国する場合は、出国前に精算と、必要な還付の受け取り方法を確認しておく必要があります。韓国の銀行口座を閉じてしまうと、還付金の受け取り先がなくなります。口座の解約は、精算が完了してからにしてください。
帰国前の片付けは、還付の着金を待つ時間との競争になります。家財を地域限定の中古アプリで処分する場合も、受け取りに口座が要る場面があるので、解約の順序は最後に回すのが安全です。
日本での確定申告との関係も、居住形態によって扱いが変わります。日韓の租税に関する取り決めが関わる領域なので、両国にまたがる所得がある場合は税理士への相談が確実です。
転職した年は資料が二つ要る
同じ年に転職した場合、前の会社の源泉徴収に関する書類が必要になります。
退職時に受け取るか、後から発行してもらう。これがないと、新しい会社で正しく精算できません。退職時のチェックリストに入れておいてください。
韓国の年末精算は、申告しなければ控除されない仕組みです。九月の時点でできることは、認証手段の準備と、現金領収書の習慣化と、扶養控除の書類の確認。制度は毎年変わるので、金額や要件は国税庁の最新情報と会社の担当者で確認してください。準備の有無が、二月の給与明細にそのまま出ます。