韓国ウェブトゥーン文化——世界に広がるデジタル漫画の発祥地で暮らす
韓国発のウェブトゥーンは今や世界1億人以上が読むデジタルコンテンツです。Naver・KakaoPageの二強体制から海外展開まで、ウェブトゥーン大国の現地事情を解説します。
韓国に来て地下鉄に乗ると、多くの人がスマートフォンで縦スクロールのカラーコミックを読んでいる。これがウェブトゥーン(웹툰)だ。日本では週刊誌の単行本が漫画文化の中心だが、韓国では2000年代初頭からウェブ連載が主流になり、独自の産業として成長した。
ウェブトゥーンの規模
韓国ウェブトゥーン市場の規模は2023年に約2兆ウォン(約2,100億円)を超えたとされる(韓国コンテンツ振興院の報告書より)。主要プラットフォームは:
Naver Webtoon
- Naver(韓国最大の検索ポータル)が運営
- 韓国語・英語・日本語・中国語等で展開。海外名は「WEBTOON」
- グローバルユーザー数は1億人超(2024年時点のNaver発表)
KakaoPage
- カカオグループのコンテンツプラットフォーム
- 「기다리면 무료(待てば無料)」モデルで一定時間待てば最新話が無料で読める課金設計が特徴
縦スクロールというフォーマットの革新
日本漫画の見開きページと異なり、ウェブトゥーンは縦スクロールの1話形式。これはスマートフォンの閲覧に最適化されており、通勤・休憩時間に自然にフィットする。
また、カラーが標準でコストがかかるため、新人作家の多くはAIツールや簡易作画ソフトを使いながら週次連載をこなしている。「1人作家のワンオペ連載」が常態化しているため、作家の過労が社会問題になることもある。
ドラマ・映画の原作として
ウェブトゥーンは今やK-ドラマの重要な原作源だ。「梨泰院クラス」「Sweet Home」「神の塔」等、Netflixでも配信されたドラマの多くがウェブトゥーン原作。ヒット作が生まれると映像化権の価格が急騰し、作家が億単位の契約金を得るケースも出ている。
在住していると、「あのドラマの原作は実は読んでいた」という経験が積み重なっていく。
日本での展開
日本でもLINEマンガ(Naver Webtoon系)やピッコマ(KakaoPage系)がトップシェアを争っており、日本のスマホ漫画市場でも韓国発プラットフォームが強い。韓国語で読んでいた作品が日本語訳されてすぐ読めるという流通スピードの速さも特徴だ。
在住者としての楽しみ方
韓国語が読める程度になると、Naver Webtoonで新連載を追いかけるのが語学学習の手段にもなる。縦スクロールで比較的シンプルなセリフが多く、単語の文脈が理解しやすい。
また、홍대(弘大)や合정(合井)周辺にはウェブトゥーン作家が多く住んでいるとも言われ、カフェでパソコンと液晶タブレットを並べて作業している若者を見かけることがある。
ウェブトゥーンという産業が日常の風景に溶け込んでいるのが、韓国で暮らしてみて初めて体感できる感覚だ。